トラウマとは

PTSD

PTSDとは

 トラウマ(心的外傷)とは、 通常の体験とは異なり、実際にまたは危うく死ぬような体験、深刻な怪我を負う体験、性的被害などの精神的衝撃体験のことです。

 日常の中で、様々なショックなことを体験することも多いでしょうが、それらはトラウマ化せずに、時間とともに軽くなっていきます。
 トラウマとなってしまった記憶は、自然な変化が望めず、その後の生活に強く影響を及ぼします。
 トラウマ体験後、その体験の衝撃が自然に処理されずに残ってしまうことがあり、その時には、PTSD(心的外傷後ストレス障害)といわれる症状を呈することになります。
 阪神淡路大震災の後に、日本でも注目されるようになり、研究が進んできています。東日本大震災の後も、そのサポートが続けられています。

 PTSDの症状としては、以下のような症状が1ヶ月以上続き、日常生活に支障が出る時に、医師により診断され、心理療法/カウンセリングが必要となります。

過覚醒とその過敏な変化回避侵入症状認知・気分の陰性変化
イライラ感が取れなかったり、過剰な警戒心、ちょっとしたことに過敏に反応したり、集中困難・睡眠障害も引き起こします。出来事を思い出さないように関連することや場所、人を避けるようになります。記憶が急によみがえったり、悪夢として再体験し、身体生理反応(動悸・発汗など)を伴う、フラッシュバックが生じます。否定的な考えにとらわれ、興味関心が湧かなくなり、人と距離を置いて孤立し、楽しい気分を持てなくなります。

 境界性パーソナリティー障害なども、激しい情緒的な不安定な症状を示しますが、幼少時のトラウマ体験が土台にあると言われています。

shock experience

何がおこっているのか

 トラウマ体験は、脳の働き方を大きく変化させてしまい、その変化は身体感覚としても現れます。健康な脳は、右脳と左脳がバランスよく機能しているのですが、トラウマ体験後には、その出来事と関連づけられた状況では言語を扱い論理的に考えることを支える左脳の活動が低下し、物事を落ちついて考えることができなくなります。

 また、脳の機能だけではなく、自己防衛行動が未完了のままになってしまうので、神経系の興奮が鎮まりにくくなり、それまでとは異なった世界に生きているかのような感覚が続きます。

 被害体験又は苦しい状況に対して、「私が弱い」「私が負けた」などといった誤ったとらえ方が定着してしまうと、苦しい状態は維持されやすくなります。不快な体験に過剰に立ち向かうかのように自分を危険にさらす人もいます。不快な体験に過剰に立ち向かい、問題をこじらせる人もいます。

 このような状態の改善のために、多くの心理療法の研究者、精神医学者たちが日夜取り組みを続けているのです。

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 ・トラウマと脳
 ・身体感覚への影響
 ・内臓への影響
 ・呼吸への影響
 ・痛み
 ・興奮の亢進と解放

アプローチ

 近年、脳や神経生理学の研究がすさまじく進展し、ポリヴェーガル理論なども治療に役立つ理論的知見を提供しています。

安心

 トラウマ治療のスタートとして、安全感の向上、つまり嫌な感覚に触れた時に落ち着きを取り戻すための方法などの、リソース(資源)を増やすことに進むのが一般的です。その点では、基本的な傾聴を中心とするカウンセリングでも、一定の効果はあります。
 ただ、更に自分を健全に守る方法の再確認、被害は自分の責任ではないという認知の確認、不快なことを体験しても落ちつかせられるような自分の感覚を拡大していくことなど、様々なアプローチがあり、それらを組み合わせて取り組むことが有用でしょう。

 専門的なアプローチとして、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)やCPT(認知処理療法:認知行動療法のPTSDに特化したアプローチ)、ソマティック・エクスペリエンシング、センサリーモーターサイコセラピーなど、様々に開発されています。
 この領域に立ち向かう心理士や精神科医たちは、日々どのようなアプローチがより効果を持つのかを考え、様々なアプローチの訓練を受けています。特に近年は、身体へのアプローチや、催眠を使ったアプローチなども理論的に整理されてきています。

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 ・トラウマ治療の3ステップ
 ・ポリヴェーガル理論
 ・ポスト・トラウマティック・グロウス

当研究室での取組み

 代表の玉井は、育った環境や幼児期からのトラウマを中心とする苦しみを抱えた方たちを支援していた家族機能研究所の相談室長として務め、多くの方たちの支援に関わっていました。

 アプローチとしては、CPT(認知処理療法)やEMDR、イメージワークなど身体的なアプローチも取り入れながら、安全感をしっかりと育んだのちに、一緒に固定されてしまっている認知・行動にアクセスしていきます。何が生じているのかを共有し、否定的認知にアプローチできる場合にはそこにアクセスしていきますし、それらに加えて、記憶イメージの書き換え技法を用いて過去の体験を修正したり、少しずつ不快な感覚をリソースなどと中和していくBCT(Body Connect Therapy)という新しく検討されているアプローチを用いたりもします。

 長く苦しみを抱えている方、過去に心理療法・カウンセリングに取り組んだけれども、今一つしっくりいかなかった方も、ご相談ください。
 また現在の状態がよくわからない、そんな混乱が続いている方に、体験や状況をおうかいしたうえで今後に向けた方針を整理したうえで示すことも行っております。

 以下の「お問い合わせ・お申込み」フォームよりお問い合わせください。うまくフォームに進めない場合には、メール(info@tamai-psychology.com)までご用件をお送りください。

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