感情

ポストコロナを考える③ 欲求の欠乏感がもたらすもの

達成感・充実感よりも安全感

 欲求の変化により、人の気持ちが変化している部分が多くあるようです。
そんなことを理解・整理してみたいと思い、考えながら書いています。

マズローの欲求段階説をご存じですか?
 マズローという心理学者は、人の欲求を5つに分けて、以下の図のように整理しました。

 下から簡単に説明すると、
・生理的欲求:食欲や睡眠などの生きるうえで必須の基本となる欲求
・安全の欲求:安全な環境にいたい、健康を維持したいといった欲求
・社会的欲求:家族や社会における組織などに所属したい、というつながりを求める欲求
・承認欲求:認められたいという欲求
・自己実現の欲求:自分の力を発揮し役に立ち、より成長して自分の可能性を広げたいという欲求
 となります。

下位の欲求が不安定になっている現在

 現在は、とても分かりやすく、下位の安全欲求が脅かされています。
 多くの人の中で、コロナウィルスについて、または現在の経済状態について、更にはこれからについても安全ではない、という気持ちが強くなっています。

 外出するのは危険だ、と言われ続けているのですから、自然なことです。
 不安や恐怖が高まり、自分を守るために交感神経が活性化し、闘争-逃走行動が賦活されますから、動けなくなる人もいれば、攻撃的になる人もいます。

 欲求が満たされないと、自然にその欲求を満たそうという動きが生じるのです。

安全欲求に留まる危険性

 安全欲求は、自分を守る大切なものです。
 ただこの欲求は、「自ら安全を守る」という側面と、「自分では安全を守れないから守って欲しい」という側面があります。

 1970年に、イザヤ・ベンダソンは、『日本人とユダヤ人』において、「日本人は安全と水は無料で手に入ると思い込んでいる」と書いています。
 これは、文化による影響も大きいと言われます。

 また、戦後の高度成長期を超えて、社会的投資を行ってきた結果、安全が高く維持されてきているので、「安全は当然」「安全は他からもたらされるもの」という感覚が強くなってしまっている部分もあるのでしょう。
 人は、慣れることで適応するのですから。

安全の基準

 安全の感覚は人によって異なるのですが、物理的な危害を加えられる可能性が一般的にみて高くない、ということは一つの基準だと思います。

 確かに、現在のコロナ危機は、世界恐慌に匹敵するのではないか、とも言われており、「今は安全ではない」ということを主張される方が多いのも理解できます。
 そのことを国も理解しているので、未来に借金をたくさんして、お金を配ろうともしています。

 ただ幸せなことに、現在の日本は、支援を求めることさえできれば、餓死することはありません。
 時々悲惨な事件はあります。とても悲しいことです。私も様々な話を聞きます。それでも、世界に比べると日本国内は随分と安全です。
 国のコロナ対策についていろいろと言われてもいますが、コロナによる死者が少ないのも事実です。


(こんなこと言うと、死者がちゃんと検査されていないから、という人もいるようです。私はそのことについて情報を持っていないので、それに反論できません。ただ、そういった発言に、私は感情的な批判を感じることが多いので、冷静に話し合う土台を作るためにも、発言した人が自分の説にとって有利なように情報の一部を切り取ったものではなく、正確な事実をしっかり積み上げて、データを示して言っていただくと、現実を確認して、次に進める対話ができると考えています。多くの場合、言ったもの勝ちとは言いませんが、言われたほうが一生懸命説明をしていて、それを言い訳だなんて言われるような光景が多くみられる気がします。私もかつて、師匠の一人に、Clinical Psychologistではなく、Clitical Psychologistだ、と言われたことがあります。批判精神は大切だと思うのですが、うまくそれを持つって難しいですね。あぁ、脱線してしまった。)

 大丈夫なんて保証はありません。
 日本は問題ないんだから、気にしすぎないで、なんてことは言えません。
 現状のような非常時に、人は自然に過敏になりますよ。そのことを自覚しておかないと、その過敏さで自分が傷ついたり、人を傷つけてしまったりしますよ。
 私もそうだから、気を付けたいと思っている、そんなお話です。

 ただ、状況は刻々と変わる、それは言えると思います。
 その状況に、私たちも本当に小さくても関わっています。
 だから、一歩一歩、出来ることをしていきましょう。

次回は、高次の欲求について触れます。

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