心理療法・カウンセリング

イメージとは何か

ザンクト・ギルゲン

藤岡喜愛先生による分類と特徴

 ふじおかよしなる、と読むのですね。しばしば、イメージ研究で見ていた名前なのですが、知りませんでした。

 戦前生まれで、人類学と精神医学を統合した精神人類学を提唱された、イメージの研究者でもあります。

 この先生が分類したイメージの特徴をメモしておきます。

分類特徴
地理的・空間的広がりを持った世界のあるところに自分がある、というイメージ
世界の内容について山や雲、雨、月など、自分の視野を満たすものが世界の内容であり、とりわけ他者が重要な内容となる
社会と人間関係日常生活で常に意識される、世界の内容の特別な部分。周囲の人となり、社会の仕組み、制度、習慣、価値観などは全てここによる
「事」世界の内容は人間関係は固定的でなく、常に「事」は動いている。その動きの型のイメージ
自己に関する世界の内容と関係を持つことを通してまとまってくる自己の身体のイメージ
歴史的・伝記性「事」のイメージは常に時間の流れで起こるというイメージ。世界は歴史性、自己は伝記性のあるものとしてそれぞれイメージされる
イメージイメージが作り出すイメージ。想像活動、イマジネーション。
「藤岡喜愛(1974):イメージと人間-精神人類学の視野.日本放送出版協会。66-67

 藤岡は、次のように述べている。
 「要するに人は、心身が一体となったイメージ・タンクそのものであり、各人がそれぞれ固有のイメージ界を持っているのである。イメージ界はそれ自身のイメージ内容を持ち、それ自身の運動をしている。それ自身において独自の世界なのである(藤岡、前出)」

 これらの視点を考えると、ありとあらゆる人の営みがイメージなのではないか、という気すらしてしまう。そのイメージの世界を整理してくれているのは、感謝ですね。

河合隼雄先生によるイメージの特性

 ユング派で箱庭を日本に広げられましたが、日本の心理士で知らない人がいないでしょう。
 河合先生もイメージについて整理しておられます。

特性内容
自律性イメージはそれ自身の自律性を持ち、自我のコントロールを超えている。イメージの送り手は誰か?
具象性子供の遊びのように、具体的行為が抽象的なことを示している
集約性(多義性)ある物や行為に多義的な意味が集約されており、一義的に解釈できない
直接性イメージ表現が当人に直接に訴えかけてくる
象徴性意識的に明確に把握できない「何か」を表現する最も適切で、それ以外にあり得ない意味を持つという特徴。特に象徴性の高いものがシンボル。
創造性あらゆる創造活動の背後にイメージが存在しているという、イメージの特徴。これは、日常生活においても普段の思考の背後に動いている。
河合隼雄(1991):イメージの心理学.青土社.27-34

 イメージそれ自体が生き物のように動き、意識で制御できるものではありませんね。まさに、そのイメージの生き生きとした側面をわかりやすく整理してくれています。

 自律性の部分に記載されているように、イメージを生み出すのは「無意識」ということになりますが、これはどのように生まれて広がっているのでしょうね。
 ユングは、集合的無意識という個人的無意識の広がりの更に下に大きな広がりがあることを示しましたが、これは、人間(または生物?)に共有されていると言われます。

 興味深い世界です。

イメージを介して人を理解する

 イメージを通して人を理解することは、どこまで可能なのだろうか。
 その検討は、又にしたいと思うが、心理療法においてイメージワークを進める時の理解は知的なものではなく、人と人との出会いになる。

 相手を生きている人として、「知ろう」として全エネルギーを注ぐのである。客観性は大切だと認知行動療法でもいうのだけれども、この知るのは主観的な体験でしかない。
 主観と客観は、どちらが正しいのでもなく、お互いに相手を必要としているんです。

 イメージについていろいろ調べたり読みまくってきたので、時々その一部を書いてみます。

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右の画像、どこにあるか見つけられるでしょうか(笑)

下のボタンをクリックして頂いたホームページの中にあるのですが、見つけられたらすごい!

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