橘曙覧(たちばなのあけみ)
橘曙覧(たちばなのあけみ)は,江戸時代幕末の歌人・国学者です。
独楽吟(どくらくぎん)という連作短歌があります。
全部で52首,すべて「たのしみは~」から始まります。
幾つか,紹介しましょう。
たのしみは 艸のいほりの 莚敷き ひとりこころを 静めをるとき
(玉井訳)楽しいのは,気楽な場所で一人ゆっくりと心を静かにする時間を持つこと
たのしみは 妻子むつまじく うちつどひ 頭ならべて 物をくふ時
(玉井訳)楽しいのは,家族がそろって,仲良く食事をしている時間
たのしみは 空暖かに うち晴れし 春秋の日に 出でありく時
(玉井訳)楽しいのは,暖かく晴れた春・秋の日に,散歩をしている時間
たのしみは 衾かづきて 物がたり いひをるうちに 寝入りたるとき
(玉井訳)楽しいのは,子どもに寝物語をしながら,一緒にうとうと寝てしまう時間
たのしみは ふと見てほしく おもふ物 辛くはかりて 手にいれしとき
(玉井訳)楽しいのは,ふと見て欲しくなったものを,何とか頑張って手に入れた時間
このようなものを見ていると,昔も今も,人が楽しみに思うものはあまり変わらないようですね。
自分が楽しみにしていること,改めて
・日々の中で楽しめていること
・楽しみたいけれども楽しめていないこと
・楽しむために,何ができているのか,何ができたらよいのか
などを丁寧に考えてみてはいかがでしょうか。
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