産業心理

新社会人の人たちとの出会い

新人研修

 毎年、看護の領域で、その年から活動を始めた人たちの研修を担当しています。今年も、600人近くの方たちと出会います。

 私は心理士なので、看護についての専門教育ではありませんが、メンタルへルスが担当で、心についての一般的知識から自分の考え方・感じ方の傾向、自分の感情との付き合い方を確認してもらいます。感情は自分の対人関係にも大きく影響をしている筈で、人の好き嫌いが生じるのは致し方ありません。ただ、そんな感情を表に出したり、仕事に影響を与えるように調整出来ないのであれば、大人としての訓練が足りない、と職場ではみなされる可能性が高いので、そういうことがないように、つまりうまく自分のことを守れるように知識とスキルを持ってもらうのです。

 人にお願いすること、無理なことをうまく訴えること、人から拒否されたことをうまく受け止め、交渉に持ち込むことといった適切な距離の取り方や、自分から相手に話しかけること、相手からの言葉を受け取ることなど、コミュニケーションのスキルも学習してもらいます。

大人としてのスキル

 コミュニケーションは、スキルなんです。人と話すのが好きかどうか、これは性格です。でも、好き嫌いに関係なく、必要な処置がとれるスキルを持つことが大切なのです。余りにも多くの人が、性格だから…と基本的職業人としてのスキルの獲得をおろそかにしがちで、放っておくと「損してしまうよ」と心配になります。話がうまい人は、その準備をして練習を重ねてきたから、それが自然にいできるように見えるのです。うまい人をまねていきたいですね。

  また、感情の調整もスキルです。人の感情の調整の責任を取る必要はありませんが、自分の感情の調整は自分の責任です。そのことについては、今までも書いてきましたし、これからも書くでしょうが、感情と上手くつき合えるようになりたいですね。

 社会人となって半年を超えて、苦労もしつつ沢山の学びを重ねている人たち、「もう嫌だ」という声も聞けば、「もっとこれを学びたい」という声も。いろんな環境で、沢山の体験を重ねているんだなぁと感慨深かったです。

 仕事の中で、楽しみや喜び、そしてやりがいを見つけられるとよいですね。どうしても見つからない瞬間には、仕事外で喜びをもって自分を保つしかないでしょうけれども、苦難は成長のためにあるのだな、と最近のストレスの捉え方についての研究者たちの見解を見ていて思います。

 頑張りを応援します。実はその頑張っている姿に、私も励まされています。

働く人、働く組織を支援する

精神分析を創始したフロイトをご存知でしょうか。

彼は、人がよくなすべきことは「愛することと働くこと」と述べています。

近年、その働く人への支援は、従業員支援プログラム(EAP:Employee Assistance Program)の広がりもあり、少しずつ手厚い体制が整えられてきています。またその取り組みは、働く職場に対してどのように働きかけるかという形に広がりを見せてもいます。

実際には人と人の関わり合いのことですから、お互いに大切に向き合えるか、ということに尽きるのですが、それを職場で実践することはなかなか簡単ではありません。家族とは違い、適度な対人距離がある社会のほうが争いは少なそうですが、様々な利害も絡み難しくなりますし、人によってその距離感が違います。個人の価値観やそれを形作る土台となった体験を丁寧にたどり、お互いに腹を割って話しあう時間を取りたくても、業績やノルマのために早く動かなければならない、そんな現実にも追われます。

フロイト自身も対人関係に深く悩み、組織を作りながらも弟子に去られたり国を去らなければならなかったりしました。沢山の悩みがどのように乗り越えられてきているのか、積み上げられてきています。玉井心理研究室でも、その長く産業心理と臨床心理に蓄積された知見で、働く人と働く組織を支援します。

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