心理療法・カウンセリング

一年間の心理学教室、最終回を終えて ―「抑うつ」と感情のやさしい付き合い方―

一年間のおわりに

モラロジー道徳教育財団で一年にわたり行ってきた心理学教室が、ついに最終回を迎えました。

一年という時間をともに歩んでくださった参加者の皆さんに、まずは心からの感謝を伝えたいと思います。毎回、皆さんがそれぞれの体験や思いを持ち寄り、ざっくばらんに語り合える場を作ってくださったおかげで、回を重ねるごとに場が深まっていきました。
継続して参加いただいた方も、スポットで参加いただいた方も、ありがとうございます。

最終回のテーマは「抑うつ」。重く聞こえるかもしれませんが、この日の対話はとても温かく、そして豊かなものになりました。

「嫌な気分になるのは、健康なこと」

いつも、繰り返しお伝えしてきたメッセージがあります。それは、「嫌なことがあれば、嫌な気分になるのは至って健康なことだ」、ということです。
そして、そこから穏やかな状態に回復する、「セットで健康だ」、ということです。

私たちはついつい、落ち込んだり、気分が沈んだりすることを「弱さ」や「問題」と捉えがちです。しかし考えてみてください。悲しいことがあれば悲しくなる、辛いことがあれば落ち込む、それは人間として当然の反応です。感情は、私たちが生きていることのサインであり、心が正直に働いている証拠でもあります。
感情は、自分の状態、自分が置かれている状況を教えてくれるアラームなのです。

問題は「嫌な気分になること」ではなく、そこから回復できているかどうか、という点にあります。嫌な体験の後、時間をかけながらも少しずつ元気を取り戻せているなら、それは心が健全に機能していると言えます。

この話をすると、参加者の皆さんはウンウンと頷かれます。自分を責める必要はないのだ、という気づきが、その言葉に滲んでいた気がします。

感情は、変化し続けるもの

もうひとつ、今回深く話し合えたのが「感情は変化していく」というテーマです。

どんなに辛い気持ちも、永遠には続きません。逆に、どんなに幸せな気持ちも、ずっと同じ強さではいられません。感情とはそもそも、川の流れのように常に動いているものです。

ところが私たちは、落ち込んでいるときに「この辛さがずっと続くのではないか」「もう終わった」「もうダメだ」と感じてしまうものです。そして、その恐れがさらに心を重くして、悪循環からぬけられなくなる。

「感情は変わる」「状況は変わる」というシンプルな事実を、頭だけでなく体でも知っておくこと。それが、感情と上手に付き合うための大切な土台になります。ネガティブに感じやすい感情に圧倒されているときには、客観的な理性が働きにくくなるものです。それでも、そのようなことを思い出すための頭、理性は訓練次第でしっかり働くようになりますよ…。

参加者の方からも「過去を振り返ると、確かにいつの間にか気持ちが変わっていたことがある」という言葉が聞かれ、皆さんそれぞれの体験の中に、その実感が宿っていることを改めて感じました。

玉井の前著『7つの感情』について、「この教室に来る前は、難しい本だなと思っていたんですが、少し話を聞き始めると、本当に分かりやすい本だなと思うようになって…」という声もありました。
ちょっとした理解の方向性を見出すだけで、天と地の差ができるんだな、と思いました。

30代から80代の方まで、本当に幅広く、様々な背景を持った人たちが集まる、そしてこの教室を企画してくれた編集の方も、一緒に学び合うことができて、本当に楽しかったです。

カフェの時間――「マスター」の仕事

毎回恒例となっていたのが、教室後の「カフェの時間」です。

様々な種類の紅茶を片手に、さらに話を深めたり、教室では出てこなかったそれぞれの背景にある視点を語り合ったり。この時間が、また実に豊かでした。

じつはこれ、私の近刊『私、合ってますよね?』に登場する「マスター」の仕事そのものだな、と思いながら過ごしていました(笑)。

マスターは、カフェを訪れる人々の話にじっと耳を傾け、それぞれの言葉が交わり合う場を静かに支える存在です。今回のカフェの時間も、まさにそういう空気であればよいな、と思っていました。

参加者の皆さんが、互いの話を丁寧に受け取り合う姿は、本当に美しいものでした。

おわりに――また、どこかで

一年間、毎回足を運んでくださった皆さん。感情のこと、自分のこと、人との関わりのことを、真剣に、そして時にユーモアを交えながら一緒に考えてきた時間は、私にとっても大切な財産です。

ディスっているのに、楽しくてみんなが笑顔になる、そんな素敵な方もおられました。(この表現をしていただいた方のコメントに、また気付きを頂きました)
現代は、否定しないということに意識を向けすぎて、「言わなければならないことを言う」「注意しないといけないことを注意する」「ダメなものはダメと言う」ことができないと感じる人も多いようです。
それを、うまく本人に受け止めやすく伝える、これは現代で必須のスキルですね!!

「感情とうまく付き合う」というテーマは、一朝一夕に答えが出るものではありません。でも、こうして言葉にし、他者と分かち合うことで、少しずつ自分の内側への理解が深まっていく。そのプロセス自体が、豊かな生を作っていくのだと感じています。
また、この教室を介して、様々なご縁が拡がっていったようで、それも嬉しく思いました。

また、どこかでご一緒できることを楽しみにしています。本当にありがとうございました。

玉井心理研究室が提供する心理支援

 玉井心理研究室では,認知行動療法イメージワークを用いて,トラウマから精神疾患,対人関係など広く心理療法を提供しております
 また,個人のみならず,組織における人事・メンタルヘルスコンサルタントとしてもお手伝いをしております。

 コロナ後に拡がったオンラインによる相談ですが,今後も継続する予定です。

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