争いは減らしたいです
玉井心理研究室の玉井です。
いろいろと考えていたこと、ちょっと良い本にも出会いましたし、少し書いておきたいと思います。
最近は、アメリカのトランプ大統領が、ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領を仲介しようと頑張っていますね。
戦争は早く終わって欲しいものです。
ロシアにも、攻め入る理由があった。
ウクライナも、戦い続ける理由がある。
そんな中、心理学者は何ができるのか、色々と考えることが多いのです。
自分ができることをすること
自分ができることを考えていて、ふとインターネットで検索してみると、
・特別なことではなく、周りの人との関係をよくすること
・自分ができる範囲でできることをすること
・地域での活動に参加できる範囲で顔を出してみること
などがあげられてきました
なるほどな、と思いつつ、目新しいものはないですね…
自己理解を深めること
私は、臨床心理の徒です。
人との関係をよくするためにも、自分との関係をよくすることが大切だと思っています。
そして、自分との関係をよくする、言い換えると自分の機嫌を自分でとれるようにするのがうまくなるためには、自分についての理解が深まっていけばいくほど、やりやすくなると感じています。
つまり、自己理解を深める、ということですね。
どういうときに、どのように考えがちなのか、どのような気持ちになる傾向があるのか、その気持ちはどのように変化していき、行動に繋がっていくのか、などなど、無限にありますよね。
『いのちの知恵』を読んで
望月勇氏の著書『いのちの知恵』を読みました。
望月勇氏は、心理の方ではなくて、ヨガの指導者ですね。イギリス在住、というのも親しみがわきます。年齢や、文章・内容からは、沢木耕太郎を思い出させました。
『いのちの知恵』の中で、以下のような文章に出会いました。
ヨガをする人に対して、以下のような言葉を投げかける人がいたようです。
「あなたたちはご自身で熱心にヨーガをやっているだけで、社会的に何もしていない。もし、戦争が起きても、自分たちには関係ないという顔をして、苦しんでいる人たちを救おうともしない」
その言葉に対して、そのヨーガに取り組んでいる人は、「できることはします。しかし、自分が本当に平和な心に満たされていないと、何も変わらない気がします。自分がそのような心になり、周りの人ともそれを分かち合い、皆がそのような穏やかな気持ちになっていくことで、その輪を広げていきたい」というようなことを述べておられました。
これは、私たちが日々の生活で忘れがちな、しかし最も重要な真理の一つであると感じます。
それを受けて望月氏も、瞑想やヨガといった実践を通して、まず自分の心をコントロールすることの重要性を説いています。外部で起きる争いや混乱に対し、反射的に批判や怒りの感情を抱くのではなく、まずは自分の内側に意識を向ける。そうすることで、自分の感情や思考のパターンを客観的に見つめ、平和な心を育むことができるのです。そして、この内なる平和の波動は、やがて周囲の人々、さらには社会全体へと広がっていくと述べられています。
カール・グスタフ・ユングの発言
この考え方は、深層心理学の創始者の一人であるカール・グスタフ・ユングの思想とも深く共鳴します。
ユングは、「内なる世界を外の世界に映し出す」という概念を提唱しました。つまり、私たちが見る外の世界の争いや混沌は、私たちの無意識の中に存在する影(シャドウ)や未統合な部分の投影であるという考え方です。
そして、ユングも「世界平和のために何ができることが大切か」といった質問に対して、自分自身も取り組んできているように、深く無意識への世界に自分を開いていくこと、と述べているのです。
無意識の世界
望月氏やユングが示唆するように、真の変革は、まず自分自身の内側から始まるのだと、私も考えています。
様々な取り組みがあり、様々な効果があるのだと思います。それは否定しませんし、全てが心の奥深くにある、などと現実社会から乖離したことを言うつもりもありません。
ただ、そんな中で私が今取り組んでいるのは、以前から取り組んできている無意識の探求から、無意識の古層へと興味関心が進んできており、さらにその実践へと進めてきています。
以前のブログ(2024年11月21日)で、無意識の古層について、少し紹介させていただきました。
私自身の取り組みからも、深く自分の中から聞こえるのは、決して利己的な思考や感覚ではなく、より大きなものとともにあるような、そして穏やかな温かさの中にいる感覚です。
自分の心の奥深くに入ることができるようになっていくことは、自分の心を整えることにつながるのではないかと、考えています。これは私の個人的経験に根差しており、確かに同様のことを指摘する研究などもあります。しっかりと、実証しうるレベルの研究に結実させたいものですが…
カウンセリングに取り組まれた方々でも、自分の内側で何が起きているのかに気づいていくことで、その対処の選択肢を広げていき、くだけで、問題が整理され、穏やかな気持ちを取り戻すことができます。これは、そのプロセスは異なるのですが、ヨガや瞑想がもたらす効果と非常に似ています。
望月氏が「自分が変われば、自分が見るこの世で起こる現象も変わっていく」と述べられているように、これは単なる精神論ではないとも言えますね。気合、根性ではないのです。
思い込みでもありません。
気持ちが穏やかなとき、他者への接し方が穏やかになる、これは多くの人が体験していることでしょう。自分の心が穏やかになれば、他者との関係も円滑になり、協力や共感の輪が広がります。そうした個々の小さな変化の積み重ねが、やがて大きな社会の変革へとつなげたいですね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あなたの内なる旅が、穏やかで実り多いものであることを、祈念しています。
時に、その度の伴走者として選んでいただき、そのお手伝いをさせて頂くことに、喜びもあります。
玉井心理研究室が提供する心理支援
玉井心理研究室では,認知行動療法やイメージワークを用いて,トラウマから精神疾患,対人関係など広く心理療法を提供しております。
また,個人のみならず,組織における人事・メンタルヘルスコンサルタントとしてもお手伝いをしております。