『私、合ってますよね?』
モラロジー道徳教育財団の出版部、ニューモラル出版から玉井心理研究室代表、玉井仁の新刊が出版されました。
いろいろと本を漁っていたら、少し似ているけど、趣の違う本に出合いました。
それが、アメリカのコラムニスト、デイヴィッド・ブルックス著の『あなたの人生の科学』(上巻・下巻)です。
私の近刊、「私、合ってますよね?」も人の成長について書いていますが、この『あなたの人生の科学』では、心理学、神経科学、行動経済学などの科学的知見をもとに、人間の意思決定や習慣形成、行動変容のメカニズムを解き明かす一冊です。
本書は自己啓発書ではなく、科学的エビデンスに基づいた実践的な知見を基に人間理解を深める視点を与えてくれます。とても広い学術的な知見が散りばめられながらも、それを小説的に描きだしており、とても読みやすくなっています。心理学者としての視点からも、本書が示す内容は、人の行動や無意識の心理を探求する上で非常に有益だと感じます。
以下、私のメモがてらですが、少しだけ紹介しておきましょう。
人間の意思決定の非合理性を理解する
この本では、私たちがいかに「非合理的」な意思決定をしているかを明らかにします。言い換えると、私たちは無意識の影響が強くあること、それが感情として知覚されることが多いこと、つまり私たちは、自分が理性的に考え、合理的に選択をしていると思いがちですが、実際には無意識のバイアスや感情によって行動が大きく左右されているということを明らかにしています。
たとえば、どのように自分のパートナーを選ぶのか、そのステップを克明に描いていくプロセスは、私たちが意識できていないことを描き出してくれています。
様々な要因が私たちの意思決定にどのように影響を与えているのかを理解することで、より自覚的になったり、自分の偏りに対しても肯定的に見られるという人もいると思います。言い換えると、人が無意識のうちに取る行動の背後にある心理的要因を探る上で役立つのです。
また、人を理解するにあたり、背景となっている様々な研究について、かなり丁寧に引用文献が示されているのもありがたいですね。
心理学を学ぶ人も、そうではない人も、自分が関心を持ったところを掘り下げる様々な材料を示してくれていますね。
まさにメモで申し訳ないのですが、『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』、これも著名な脳神経学者デイヴィッド・イーグルマンの本で、面白かったですね。
科学の本ではなく、星新一を思い出させるような、自由な発想で書かれたエッセイです。
最近読む本の著者のファーストネーム、デイヴィッドが多いなぁ、と思っている日々です。
玉井心理研究室が提供する心理支援
玉井心理研究室では,認知行動療法やイメージワークを用いて,トラウマから精神疾患,対人関係など広く心理療法を提供しております。
また,個人のみならず,組織における人事・メンタルヘルスコンサルタントとしてもお手伝いをしております。