とにかく伴奏、たくさん伴奏,弾きたい!
前回の続きです。
伴奏を学ぶために,その求められる基本的知識の多いこと。
なんで今まで、もっと伴奏の経験を積んでこなかったんだろう…と、この時は後悔しました。
でも今更悔やんでもしかたありません。
今からウィーン国立音楽大学のソロ課程を修了して伴奏科に入る時間的余裕も無いし、市立音楽大学の伴奏科に入る力量も無いので、友達が通っていた小さな音楽学校の声楽科のクラスに、ボランティアの伴奏者としてレッスンで弾かせてもらうことにしました。
その学校には日本人女性の先生がいて、日本で音楽大学を卒業した人もレッスンを受けに来ているし、趣味で声楽を習いたいオーストリア人の生徒さんもいました。
私は伴奏者としては初心者と言っていいレベルでしたが、声楽を教える先生にとっては、一応ピアノの専門教育を受けてきた人がレッスンに同席してくれることは多少の助けになるようで、歓迎してもらえました。
甘くはない・・・
ところが,やはり甘くはありませんでした。
毎回新しい曲の楽譜を出されて、練習することもなくすぐに歌に合わせて弾かなければならず、全然ついていけなくて却って歌の邪魔をしてしまう始末。
歌っている途中でいったん止めてレッスンをし、「じゃあもう一度、mein Himmel から」と言われたら、ピアニストもすぐ歌詞の「mein Himmel」のところをを探し出して一緒に弾き出さなければならないのに、ピアノ譜を読むので精一杯の私は歌詞まで気にする余裕は全くなく、全然見付けることができなくて怒られてしまいました。
何時間も続くレッスンで、必死に楽譜を睨みつけて弾いたので、何よりも目が疲れ、先生にも歌手にも気を遣うので気疲れもして、レッスンの日は毎回クタクタに疲れました。
歌手にとっては、ピアニストの演奏によって自分の歌の出来栄えも左右されるのに、こんな下手なピアニストが毎回レッスンで弾くのはいい迷惑、と思ったことでしょう。
でも先生にとっては、自分で弾くよりは私が弾いた方がマシ、ということなのか、継続して弾かせてくれました。
私も、毎回必死に喰らいついて弾いていくうち、どの音を外さなければそれなりに伴奏として成り立つか、コツが分かるようになってきました。
楽しい、と思ったきっかけ
ひとつ、印象に残っている曲があります。シューベルトの歌曲、「Musensohn」です。
この曲はとても速くて音も飛び、初見で弾くにはとても難しい曲でした。
何とかペダルでごまかして弾いている私の演奏を聞き、次の人のレッスンについて来ていたピアニストの方が「この曲はですね…」とおもむろに立ち上がり、お手本を弾いて下さいました(このピアニストは、ウィーン市立音楽大学の伴奏科に合格し、勉強されている方でした)。
そうしたら、ペダルは一切使わず、全てが跳ねるような演奏だったのです。
伴奏を経験している人は、どんな曲でも分かってしまうんだ…と、少しショックでした。
でも、その曲を発表会で弾くことになったので、いっぱい練習しました。
結局、音がとても飛ぶので、鍵盤を見ていないと弾けず、結果楽譜は見られないので覚えるしかありません。
でも覚えてしまうと面白いように弾けるようになり、歌の先生にも歌手にも褒めてもらうことができました。
歌曲伴奏で初めて褒められた経験はとても印象的で、歌の伴奏を続けたいと思った瞬間でもありました。
つづく。
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