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メソアメリカの死生観 メキシコ展で感じたこと

古代メキシコ展

 ようやく行ってきました。ずっと気になっていましたが,9月3日の最終日直前に時間を見つけていってきました。

 驚くほどたくさんの人たちがいました。
 みんな,やはりメキシコには興味があるんだなぁと,嬉しくなりました。

 入ってみると,ぽつぽつと像が置いてある,そして大きな画面。人ごみの間からそれらを見て,じわじわ近づいていく。

 そして何より,フラッシュと動画は禁止だけど,写真は取り放題。皆,撮りまくっています。だから,人のペースがゆっくりなのです。

 実は,本当に何の意図もなく不思議なことなのですが,ちょうど先月,佐藤究著の『テスカトリポカ』を読んでいたのです。これは,クライムサスペンスです。内容の紹介はしませんが,表題のテスカトリポカとは,アステカ神話における主要な神の一つのことなのです。

 やはり,行くしかない。よばれている,と思いました。

様々な文化

 初期のオルメカ文明は,紀元前1500年とのこと。とても古い。そして,有名なマヤ文明は,反映したのは10世紀ごろまでだが,15世紀までも続いていたとのこと。2500年近くも続いていたとのこと。すごすぎ。結構最近まであったんだな。古代文明だから,もっと昔に滅んで消えていたと思っていたが,不勉強でした。

 ざっとの勉強で間違いがあるのはお許しいただきたいと思いますが,大学時代に科学史を学んだ時のことを思い出しました。一日の終わりに太陽が滅び,翌日には太陽が再生すると言う考えを持っていたとのこと。

 そして,生贄を神にささげるという儀式を持っていた文化ですね。
 明らかに日本とは全く違う文化。金属を加工する技術はなかったが,独特の精神性を持っている。

 ここまで生贄という発想が強くあるということは,何を怖れるか,そして死ということに対する捉え方が異なると考えても良いと思われる。
 都市国家間を統合して大きな国を作ろうという発想ではなく,それぞれの都市国家,文化を維持していた。それは,攻め込んで生贄とする捕虜を連れてくる環境を維持するということもあるかもしれません。ただ,もっと国を大きくして不安を和らげよう,という感覚はなかったように思われる。でも,マヤ,アステカ,インカ(インカは今回のメキシコ展に含まれていません)などの文化の違いで,生贄の意味,方法は異なるようです。

 いずれにせよ,人と自然は別のものではなく,人も自然の1つ,という考えが強かったようです。そして,人間が自然を超えて支配するという発想ではなく,人間も恩恵を得るためには犠牲を払わなければならないという考えに繋がっていたようです。

 それ故に,価値が高いとされる人間を神に捧げることで,雨を求めたり,生かされている保証を得ようとしていたとも言えるのでしょう。

 この写真は,鷹の戦士の像です。ジャガーが一番強い生き物で,次に鷹が強いものとされたようです。

 何か惹かれるんですよね。このメソアメリカの文化には昔から。
 いつか行ってみたい,でもそんな話を家族にすると,メキシコで暮らした友達の話で,「いかに危険であったか」という話を強く言われました。でも,いつか機会があれば…。

 かつて,臨床心理学を学ぼうと思った頃,沢山の人に「臨床心理を学ぶのであれば,様々な文化に触れ,人類学,歴史,とにかく広く世界を知らないとできないよ」と言われました。
 私自身,教養が広いとはあまり思えないのですが,好奇心は強いので,あれこれあまり統一したものではありませんが,見聞を拡げ続けています。

 このようなメソアメリカの文化の中では,心理カウンセリングのような仕事はなかったんでしょうね。

 昔の日本では,そのような役割をお坊さんや地域の顔役が担っていたんですよね。

 もっと,生と死の距離が近かったんですよね。少し前までは。そして,人と人の距離も近かったんでしょう。

コロナ対策を行っている心理相談室 玉井心理研究室

 玉井心理研究室では,認知行動療法イメージワークを用いて,トラウマから精神疾患,対人関係など広く心理療法を提供しております
 また,個人のみならず,組織における人事・メンタルヘルスコンサルタントとしてもお手伝いをしております。

 コロナ後に拡がったオンラインによる相談ですが,今後も継続する予定です。