内田樹氏「邪悪なものの鎮め方」
今日のブログのタイトルは,神戸女学院大学名誉教授のフランス文学者,内田樹先生の本からもらいました。ありがとうございます。と言っても,本を読ませていただいたというご縁しかないのですが…(笑)
内田氏と脳科学者の池谷裕二さん(『進化しすぎた能』などの著者です。それも昔読んだけど,面白かったです)との対談を読みました。
ミラーニューロンというのは,脳の中にある神経細胞の一つで,霊長類の脳内で,自分が行動するとき,他の人が行動するとき,それぞれの時に活性化するものなんです。
それは,他の人が行動しているのを見て,まるで自身が同じ行動をとっているように,つまり”鏡”ような反応をすることから名付けられているのです。
言い換えると,人の行動を自分の行動のように感じる,こころの話しに持ってくると,人の気持ちを自分の気持ちのように感じる,共感するときにガンガン働いているときの脳細胞ということです。
幽体離脱
本によると,ミラーニューロンを活性化することができる薬が合って,それを人に投与すると,幽体離脱,つまり自分を上から見ているような状態になった,という報告があるとのこと。
この事実について,内田氏は「人が共感すると,自分からも離れて他者と同一化できるようなポジションに入る」というように説明しています。
そこから,人と気を合わせることの大切さなどと,ミラーニューロンの働きを活性化せることの意味を説いているのですが,それは本を読んでみてください。
深層心理
共感は,同じ体験をするわけではありませんが,身体感覚としても感じるものです。
これは,ミラーニューロンは深層心理とも深く繋がっているのかもしれませんね。
理屈では繋がっていないはずなのに,でも何か分かり合えるような感覚,その活性化が人との間で出来ることは,大きな気持ちの上での支えになりますからね。
逆に,虐待などを受けて,自分自身に対して親しみを持てない,他者と近しく感じられない,ということは,このミラーニューロンが活性化しにくい,ということなのかもしれません。
しかし,幽体離脱状態になるということは,自分との間にも距離を感じてしまう,ということかと思います。
ミラーニューロンが活性化した状態が幽体離脱状態になるということは,ある意味で人が生まれた初期状態に近づく,ということかとも言える気がします。
そうすると,自分自身に対して親しみを持てない人が,そのような力を獲得するに際しては,やはり外部との繋がりを通して,という形を取らざるを得ない,ということかもしれません。
私の研究してきた,インナーチャイルドという概念も,同様です。
つまり,インナーチャイルドは自分でありながらも,自分ではない他者だからです。
その他者としてのインナーチャイルドとの関わりが,自分との関わりにつながる,ということを考えると理屈が合うんですよね。
その部分,実証的な研究にならないかな…。
玉井心理研究室では、心理療法・心理カウンセリングの提供をしています。また、個人のみならず、組織や会社団体などにおける心理支援も行っております。
現在は、Zoomやスカイプ、電話による相談も強化しております。