「境界線」の強さもそれぞれ、時々で変化する
昨日も、そして過去にも境界線についていろいろと書いてきましたが、今日も少し書いてみます。
今回は、健全な境界線を持つ場合、そして境界線が弱すぎたり、強すぎたりするときに、どのような状態になるのか、確認していきたいと思います。
境界線は、時によって刻々と変化します。
ケンカしたときには、相手と距離を置きたくて境界線が強くなります。
仲直りすると、相手と近づきたくて境界線が弱くなります。
境界線が弱い人
まず、境界線が弱い人です。
人は、状況によって境界線が弱くなることはあるのですが、ここで書いていくのは基本的にいつも弱く、時々強くなることもあるけど、やっぱり弱いところに戻る、という人のことです。
「私はこれがいい」とか「私は私」という感覚が極端に弱い、ということになります。極端に言うと「私はあなた、あなたはあなた」、というように見えることもあるでしょう。
自分の意に反することをされても、「嫌」と言えずに、悶々と関係を続けて、自分にとってもよい機会を受動的に待ち続ける、ということになります。
嫌が言えないから、境界線がしっかりもてないから、人と関係を持たない、人との距離を普段からすごく遠くしておく、という人もいますね。
境界線が強い人
次は、境界線が強くなりすぎる人です。弱いところで書いたのと同じように、これまた人には波があるのですけどね。
境界線が強い人は、「私はこれ」「私は私」という意識が極端に強い、ということが多いのです。
結果として、人に自分の意見を強要してしまう、ということもしばしばです。
そうすると、想像してもらえるとわかるでしょうが、人との関係で不快な体験を繰り返すことになります。
そして、人に対して警戒心や苛立ちを強く持ち続け、人に心を開くのではなく、人からも警戒されるような世界に住み続けることになります。
不快な人に対して、「縁を切った」というような状態も、まさにこの境界線を強く引くことにした、ということと同じような意味です。
電話が来ても出ない、今後のやり取りは行わない、そんな関係を拒絶するということなのです。
健全な境界線
さて、最後に簡単にですが、健全な境界線についても書いておきましょう。
「私」と「他者」は相互に理解をしている、または理解しようとしており、それぞれに自分の気持ちやお願いを伝えることもできるし、相手はそれにOKの時もあれば、ダメな時もあって、ときに気持ちも揺らぐけれども、柔軟に調整しあう関係を持てているとき、境界線も柔軟で弾力性があり、お互いを傷つけあうことがなくなっていきます。
ときには無理をすることもあるでしょう。だから、次は相手が譲ってくれたりと、お互い様を目指すのです。
ケンカをすることもあるでしょう。それでも、それぞれを大切に、仲直りすればよいのです。
健全な境界線とは、時に変化します。
「この線から入らないで!」というものでもありません。
もちろん、お互いに思いやるということで調整はうまくなるものでしょうが、柔軟で相互浸透性のあるものなのです。
今日の写真ではコップが並んでいますが、激しくぶつけると割れてしまう、かといって乾杯の時に合わせないのもつまらない、そんなよいかげんがいいのですよね。
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