5/28のブログで、昔のWienでのコンサートについて書きました。その続きです。
足が疲れた・・・
いよいよ椿姫が開幕しました。
かの有名な「乾杯の歌」などの演奏もあり、本場ウィーンのオペラ座で生演奏を聞けるのは感動的です。
…と思ったのも束の間、足がどうにも疲れてきて、あまりオペラに集中できなくなってきました。
待ち時間も含めると、オペラ終了までの時間、およそ6時間くらいは立ちっぱなしということになります。
今まで立ちっぱなしでコンサートを聞いた経験は無く、座って楽々と鑑賞できたことが、どんなにありがたかったかと、変なところで感謝の気持ちがわいてきたりして。
オペラも、ちゃんと鑑賞したのは初めてで、一応はストーリーを予習していったものの、イタリア語の歌詞の一つ一つを理解できるわけもなく、どこをどう楽しんで良いかもよく分からず…。
とにかく最後まで頑張って聞き、疲れ果てて帰宅しました。
やっぱり、オペラは私には合わないのかも・・・。
数をこなすのも大切
でもその後、ウィーン在住歴が長い友達に色々コツを教わって、だんだんと楽しめるようになってきました。
やっぱり、パルテレは座れないので、ガレリーやバルコーンにした方が、舞台は見えにくいけど楽なこと(席が階段状になっているので段差に座れる)も分かったし、オペラの楽しみ方も少しずつ分かってきました。
今日のオペラは、オーケストラの伴奏が良いとか、○○役の歌手が良い、とか。
ストーリーで感動するまでにはなかなか行かなかったのですが(「ラ・ボエーム」でミミが死んだときもピンと来ず、友達に呆れられたりしました)、ある日「トゥーランドット」のリューのアリアに感動し、隣で鑑賞していた男性も涙を拭いているのを見たとき、少なからずオペラで感動するということを経験できたことに、自分の成長を感じました。
感じることにも、繰り返し練習がいるのですね。
当研究室代表の玉井が言っていること、感情体験も繰り返しが根付く、ということと繋がるのでしょうか。
数々の思い出がよみがえる
当時、ウィーン国立オペラ座の音楽監督は小澤征爾さんが務めておられたので、彼の指揮するオペラはいくつも鑑賞しましたが、意外にもモーツァルトよりもヤナーチェクのオペラの方が良かったこと、グルベローヴァやアンナ・ネトレプコが主役を歌うと、オペラ自体がこんなに魅力的になるのか!と驚いたことなども良い思い出です。
実際、母がウィーンに遊びに来るとよくオペラに連れて行きましたが、小澤征爾指揮の「ドン・ジョヴァンニ」で、ジョヴァンニ役がトーマス・ハンプソンという黄金版でも母は最初から最後まで寝ていたのに、グルベローヴァが主役を歌った「ナクソス島のアリアドネ」はバッチリ起きていました。
楽友協会ホールでの演奏会では、アシュケナージが演奏後何故か涙を拭いていたことが気になったこと、ポゴレリッチは拍手が鳴り止まなくて何度も舞台に戻って挨拶をするものの、絶対にアンコールは弾いてくれなかったこと、逆にキーシンは、一度舞台に戻ったらすぐアンコール曲を弾いてくれ、合計5曲くらいは弾いてくれたことなど、思い出は尽きません。
一番の思い出は
何よりも印象的なのは、ウィーンの観客の拍手の温かさでした。
拍手さえも心地よい響きに変える音響のホールなのかもしれませんが、とても温かく演奏者を包み、長いのです。
演奏者をねぎらい、感謝を伝える拍手でした。
それはプロによる演奏会だけでなく、学生の発表会などでも同じでした。
次の演奏者が出てくるまで続くのです。
日本に帰ってきて発表会などに行くと、拍手の短さと素っ気無さがとても気になりました。
頑張って練習して、緊張の中やり遂げた演奏者に、もっとたくさんの拍手をあげて欲しいと思います。
文化を大切に育てていく姿勢、それが社会に広がっていくとよいですね。
日々の研鑽の成果を披露して人々に感動と元気を与える演奏者と、それを温かい拍手でねぎらい癒しと明日への活力を得る聴衆、そんな場が早く復活することを、心よりお祈りいたします。
コロナ不安、今後についての不安などでも、個人のみならず組織支援についての相談もお受けしています。
玉井心理研究室では、心理療法・心理カウンセリングの提供をしています。
現在は、新型コロナウィルスの拡散防止も念頭に、スカイプや電話による相談も強化しております。
玉井心理研究室のメインホームページや、ほかのブログでもいろいろな情報を発信していますので、ご覧頂ければ嬉しいです。
気に入った情報や文章などがありましたら、当研究室のブログからとして広げていただけたらありがたいです。