気合いと根性ではだめですよ
昔から、「かわいい子には旅をさせろ」「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」などということが言われてきました。
甘やかしているから、不安を解消できないんだ、甘やかしてはいけない、という先人の教えでしょう。
確かに、過保護は本当にシビアな問題を作ります。
そのような発想で、対人恐怖なども含めたこの社交不安症などは、誰もが感じることだから「気合いと根性」で何とかしろ、という人もいます。
ただ残念ながら、その場合には旅先で子供が行き倒れになったり、谷の底から這いあがれない子供がいてその谷底で誰かの世話になるだけだったりします。そんな子供を責めて、「弱い奴は淘汰されるしかない」といっても、それも暴論です。
「私は褒められて伸びるタイプです」と主張する子供を、過去にテレビで見かけた記憶がありますが、それはいいですね。
支援のバランスの難しさ だから専門家を利用する
他者に対する褒めることと突き放すこと、このバランスはなかなか難しいものです。
既に不安や恐怖心が強く、診断がお医者さんによって出されるレベルになると、それまでの周りの人の関りにおいて、褒めることと突き放して自分でやらせることのバランスが大きく崩れています。
それ故に、専門知識を学び、訓練を受けている専門家が提供するバランスの取れた関わり方の中で、取り組みを進めることで回復に努めるのです。
私も専門とする認知行動療法などは、不安症(不安障害)への対応に優れていると感じていますし、エビデンスも集まってきています。
お医者さんもお薬を出すことがありますが、不安症における扁桃体の過活動などを抑えるために有効ともいわれます。ある種の抗不安薬は、様々な問題も指摘されていますが、即効性があるため、多用するお医者さんも、その薬を求める患者さんも少なくないようです。
家族、周りの方による理解
この社交不安症の人が、ご家族に対しては強く自分を主張されることはあります。
これは、いわゆる「内弁慶」というものですね。
外の人には強く言えないけれども、家の人には強く言えるので、褒める・見守る・突き放すのバランスが難しくなります。ご家族の方も、様々な感情に巻き込まれますので、一緒に病気について学んでいただき、支援しながらも少し距離を置いて見守れるようになれるとよいですよね。
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