発達障害の増加
最近,大人や子どもがイメージとして,子どもを浮かべることの意味,その頻度について考えて調べている。特に,子ども時代の体験に根差すイメージが,いつも頭に浮かんでくる,という分けでもないであろう。
フラッシュバックが続いているのであれば別であろうが…。
発達障害の近年の増加について,発達障害を多くみて,情報発信をしている杉山登志郎先生や古荘純一先生は,成育歴上の被虐待体験も第4の原因であろうとおっしゃっている。
それは,実際に虐待とまではいわなくても,日本の親自身が自己肯定感が低いことは報告がされているし(古荘,2009),大きく考えると戦後の吉田茂首相がアメリカ合衆国と合わせる形で掲げた施政方針で海外からの脅威に備えることを最優先とせずに済むことも遠因として考えられる。
自分を守ることにエネルギーを注がなくてよいということは,いかにも不自然だ。
それは,世界的な実験だとも言える。
ま,世界各国のコロナ対策を俯瞰すると,何が正しいのではなくて,どの国も試行錯誤して実験しているという言い方もできよう。実験という言葉は,客観的に観る,という意味にとっていただければ幸いです。
発達障害とは何か
話を戻すと,発達障害について書かれた本を紹介したい。
「発達障害とはなにか 誤解を解く」(古荘純一 2016)
少し前の本ですが,基本を押さえておくにはとても有益です。
臨床実践を積み重ね続けつつ,それを学術的な見地から,一般の人に対してわかりやすい本を書く,それは本当に続けていくことが難しい取り組みです。
そんな視点から読んでも,本当に学びが沢山ありました。
発達障害への対応について理解する
多分,ここで幾つか書かれていることを記載しても,誤解を拡げてしまうのではないかと考えます。
例えば,「発達障害の治療が進むことで,自己肯定感が下がることがある」と書かれています。それだけを読むと,意味が分からない人もいるかもしれません。
本では,発達障害の子どもで,「自分はどのように見えているか」という他者からみた自己イメージを想像することが余りできない事例が紹介されています。服薬治療が進むことで,自己把握が進み,客観的な立ち位置で自分を観察できるようになることで,それまで何も気にせずに「幸せ」であったのが変化した,ということなのです。
発達障害に対する早期診断・早期療育が望ましい,という視点にもメリットとデメリットがあることが示されています。私自身,海外との連携で早期診断をすることで,その後の適切な投薬を含めた脳のバランスの良い使い方を進めることができる,という研修を受けたことがあります。
そのこと自体は,間違っていないと思います。
ただ,どの選択肢にもプラス面とマイナス面があり,そのどちらをも検討することの大切さが説かれています。
診断がはっきりしないから,発達障害でしょう,と言ってしまう医療機関。
診断をはっきりさせるだけで原因がわかってホッとしてしまう親。
短期的,長期的な支援を共にしっかりと行う環境が難しい支援機関。
自分が発達障害だと思い込む人たち。
他にも,沢山の事例があります。
発達障害は,本当に個別性が高いのです。
それ故に,適切な情報の取得ができるようになること,支援の経験を積むことと,多くの事例を見ること等が必要となります。
何よりも,経験者に学ぶ,という姿勢は大切です。
学びは尽きません。
学べば学ぶほど,これが唯一の正解だ,ということから離れていきます。
複雑さが増していきます。
複雑というか,人ってみんな違う,それでも人だから似たところも多い,というのが実情ですよね。
楽しく,取り組みを続けたいですね。
コロナ対策を行っている心理相談室
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