マインドフルネス・ブームの到来
日本において、マインドフルネスへの注目は随分と広がってきました。
このようなブームは、定期的に訪れていますね。
少し前には、小池さんというお坊さんが注目されたり、断捨離であったり、何らかの形で心に向き合い静める、そんな取り組みがはやります。
八正道
マインドフルネスの取組みが注目される一方で、この取り組みが、禅やヨガなどの一部の分かりやすい部分を切り取っただけである、という意見も散見します。
ま、そりゃそうなんですよね。ただ、治療効果の点で有益であると感じています。
マインドフルネスについて、禅、つまり仏教の側面から、少し考えてみましょう。
仏教の八正道の教えを考えてみましょう。八正道とは、仏教において涅槃に至るための8つの実践徳目のことで、正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定のことを指しています。
そしてマインドフルネスは、八正道の七番目である正念のことを指すと思われます。
野狐禅
仏教の修行においては、八正道の八つの段階の一つ一つを順番に進めることを大切にしていますね。
それ故に、いきなり七番目のマインドフルネスだけやってみようか、という発想に対して、仏教修行者からは、“いい加減”という指摘を受けるのですね。
確かに、行為や思考の方向性が正しく定まっていないのに、正念の行に入るのは、厳密に考えると、仏教で目指す人間の成熟に向かった取り組みとは異なる、ということは指摘の通りです。
正しい形と順番で行われていない、自分でやったつもりになるだけの禅を、野狐禅と言い、問題がありますよ、ということは昔から言われていることです。
私は、様々な精神的な苦痛や精神疾患からの回復のお手伝いをするのが、専門ですから、そのためには使えそうなものは使っていこう、という発想を持ちがちです。
目の前に、苦しいという人がいるのですから…。
ただ、 これも、恒常性錯覚に陥ってしまっているのかもしれません。気を付けないと…。
取組みの限界と効果を意識し、濫用には気を付け、自らの取組みはしっかりと根を張って、自己修養として進めなければならないな、そうしないとマインドフルネスを伝えていく効果も、長い目で見ると減じてしまうな、などと考えました。
丁寧に進めます…。
玉井心理研究室のメインホームページ、ブログでも様々な情報や視点を提供しています。ご覧いただければ嬉しいです。
また、この一月からは、既にお伝えしているように、心理グループも始めます。関心がある方は、是非ご参加ください。わからない方は、お問い合わせください。