心理雑感

森田真生 数学を通して生きる人

数学と人

森田真生さん,面白そうな方ですね。この方は,東大を卒業されてから,独立研究者としての立場を維持され,研究,講演などを行っておられるようです。

ご縁があって,本を手に取ってみました。

数学する身体

これは,数える数ということがどのように発展してきたか,ということから紐解き,指を使って数える,身体を使って数える,次第に数を抽象的なものとして研究する,ということに至るまでの変化と,その営みと人との関係を書いています。

後半は,森田氏自身の個人的な回想,荒川修作による「三鷹天命反転住宅」に住んだこと,岡潔の「日本のこころ」に惹かれていったことなども書かれています。

人は,身体なくしては生きてはいけません。その身体がどのように使われているのか,身体が生きているとはどのようなことなのか,そんなこともじんわりと考えたり,思索を広げてくれるものでした。

計算する生命

近代の数学の発展がどのようなものであったのか,それらを丁寧に辿り,紹介してくれています。果ては,AIに至るのです。

AIで置き換えていけること,AIでは置き換えられないこと,そこを追求し続けていく研究者たちの姿が浮かび上がるようで,物語としてもとてもワクワクするものでした。

独立研究者

ご自身でつけられたのでしょうか,この「独立研究者」という名称は。森田氏はこの立場で生活を重ねておられるようです。

丁寧に,自分が大切にしたいものを身近におき,それから離れない生活を選択しておられるようにも思います。

その様な姿勢を作るきっかけとして,中学生の時代に会ったという武術家の甲野善紀氏がいるとのこと。人の生き方は,人に影響を与えますね。

そして,人の感情は,人に感染していくのだなぁと考えさせられました。

共感という言葉がありますね。

人の気持ちに寄り添う,同じような気持ちを一緒に体験する,というときですね。

しかし,人は放っておいても他者の感情を体験する,つまり感染するのだなぁと思います。感染を防止すべく,自他の境界線を引いて,人のことは他人事とする姿勢もありますが,自然にはそうではないんだなぁと,なぜか感じさせられました。

それは,本来人と人がつながることで生き延びてきた生き物,ということにも由来するのかもしれませんね。

ポリヴェーガル理論でも,同様のことが指摘されている気がします。

色々な知識,感じていることがつながっていきます。

森田氏のこと,忘れないように書いておこうと,散文になってしまいました。

読んでいただいた方,ありがとうございました。

新刊のご紹介

 今,新しい書籍『「7つの感情」知るだけで楽になる』の出版に向けて,最終コーナーに近づいてきています。

 ネガティブに感じやすい7つの感情を理解する,そしてうまく付き合う,そんなことを丁寧に紐解いて解説したものです。また,ご案内しますね。
 皆さんと,本を通していろいろと考えて頂き,様々なコメントを頂ければ嬉しいです。

 

コロナ対策を行っている心理相談室 玉井心理研究室

 玉井心理研究室では、心理療法・心理カウンセリングの提供をしています。また、個人のみならず、組織や会社団体などにおける心理支援も行っております。
 現在は、コロナ対策としてZoomやスカイプ、電話による相談も強化しております。