今回は,『かまきりの讃歌』という本について,少し紹介します。
これは,この一年沢山の専門書も一般書も,乱読気味に読んでいる私にとって,心の琴線に触れるところが多かったからです。
『かまきりの讃歌』(思索社,昭和62年)は,「A Mantis Carol」の翻訳です。
本の紹介では,「愛と精神の尊厳を謳いあげる原初の心の物語。自然な故郷からはあまりに遠い摩天楼の世界ニューヨークに現われた、正真正銘の、そして最も純粋なブッシュマン、ハンス・ターイボッシュ。かまきりの夢に導かれて明らかにされる、彼の生きた〈生〉の意味は?」と書かれていました。
著者 ローレンス・ヴァン・デル・ポスト
「かまきりの讃歌」の著者である,ローレンス・ヴァン・デル・ポストは,南アフリカで生まれ,英国との深い関係を持ち,ブッシュマンに対する人間が行った悲惨な仕打ちを訴え,人の存在とは何か,を問うた人でもあります。
実は,「戦場のメリークリスマス」の著者でもあります。
この本の名前からは,大島渚監督の映画を思い出す人も多いでしょう。
いろいろな人物評がありますが,その時代の中で,自分の生きた環境の中で,自分の感じたことを率直に表現して伝えようとされた方だと思います。
訳者 秋山さと子
この本の訳者が,心理療法の一派である,ユング派の心理療法家である秋山さと子女史であるということは,注目に値します。
ユング派とは,精神科医であり臨床心理学者であったC.G.ユングが,無意識の奥深くを探り,人間を深く理解しようとする,そして人として生きることを探求しようとした深層心理学を学び続ける人たちのことです。
ブッシュマン
ブッシュマンという言葉は,子どもの頃はよく聞いた気がします。
最近は,ほとんど聞きません。
実際に,グーグルで検索しても,ほとんど出てこないので見てみると,サン人として表記されているのですね。
近代の人類が,文明化という暴力で抹殺しようとして,それに適応できずに死んでいった人たちでもあります。
この本は,アメリカのニューヨークという文明の最たるところで生きたブッシュマンについて書かれたものであり,存在する生命が,以下に尊く生きえたか,を記述したものでもあります。
そして,サン人にとって神の象徴とも言えるかまきりが,その物語の旅を支えてくれていたことがわかるのです。
次回,この本から幾つか抜粋して書いてみたいと思います。
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