泣けない人たち
心理カウンセリングでお話を聞いていくとき,話始めるとなぜか涙が止まらなくなる人たちとお会いします。
ご自身でも「なんで泣いているのか」分からないようです。
私もわかりませんが,普段,触れることのない心のどこかに触れ始めていることはわかります。
そして,その涙に話を聞くと,「寂しかったこと」「安心を感じること」「ようやく何かに出会えたこと」など,少しずつ紐解けていきます。
栗花落カナヲ 鬼滅の刃より
また,鬼滅の刃の話で恐縮ですが,今回はカナヲについて少しふれたいと思います。
鬼滅の刃の登場人物のカナヲは,主人公の炭治郎と一緒に鬼殺隊の最終選考で生き残った女性ですね。マンガによると,夜が明けると兄弟が冷たくなっているような過酷な家で育ち,泣いてなんていられない環境で,その後売り飛ばされたものの,胡蝶しのぶ姉妹のところに縁があって救い出され,鍛えられて鬼殺隊の一員となったのですよね。
胡蝶カナエ(胡蝶しのぶの姉)が鬼に殺された時にも,体が震えるぐらい汗が止まらなくなるぐらい反応しているのに,泣いていたらやられてしまうという環境にいた影響で,泣く,ということが出来ない子でした。
そして,胡蝶カナエやしのぶを殺した鬼を,嘴平伊之助と一緒に倒した後で,ようやく涙を,悲しみの感情を取り戻したのです。
悲しいのに泣けなかった…ようやく涙を流せるようになった…。
過酷な試練を乗り越えて目指したところに辿り着いたとき,ようやく自分が認められたとき,ようやく心の声を聞けるようになったのですね。
そして,自分で自分のことを認められるようになったのですね。
感情を取り戻す
自分の感情に触れられることは,実はとても大切です。
自分の気持ちがわからない,という人の話しはよく聞きます。
一般的にも,我慢して人に合わせていると,いつの間にか自分の本当の欲求が分からなくなった,そんなことは自然に怒りやすいのです。
仕事では,自分の気持ちなんて考えていないよ,気持ちは感じないようにしているよ,という人も少なくありません。
感じてしまうと,仕事自体が苦しくなりすぎるし,かといって仕事から離れることも苦しいし…,という葛藤を抱えているのでしょう。
それ故に,我慢した後に,「あーだこーだ」と仲間内で文句を言って,自分の気持ちを取り戻す人もいるのでしょう。
自分のことがわからなくなると,なんとなく…という形でよくわからない感じで苦しさが増していきます。
わからなくて,自傷行為で自分の感覚を確かめる人もいます。
自分がいながらにして,自分がわからない,そんな状況に困惑し,苦しい。
苦しさは自分の実感と繋がっていますから,それを辿っていくとよいのですが,その苦しさを辿っていく途中で迷子になってしまうことも多々あります。
時に混乱しますし,人によっては簡単ではありませんから,私たち心理士がお役に立てることも多々あります。
まわりにいる人で,とことん安全で味方になってくれる人がいて,その人との関係の中で少しずつ自分を取り戻せるとよいのですけどね…。
カナヲのことを呼んだ時に,いろんな人が頭の中をよぎり,共感を感じておりましたので,そのことを書ければなと思っておりましたので,今回はつらつらを書かせていただきましたました。
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