心理療法・カウンセリング

現代のエスプリ(382) フォーカシング

フォーカシングとは

 フォーカシングとは、アメリカの心理学者であるジェンドリンによって開発された、心理療法の過程であり、取り組みの方法です。

 ジェンドリンは来談者中心療法を確立したカール・ロジャースの共同研究者で、ロジャースの創始した来談者中心療法の実践の中からフォーカシングを体系化したとされていますね。
 来談者中心療法とフォーカシングの関係は、大きくは二つに分かれていて、それは今でも続いているようですが、両者は別個の体系であるという見解と、フォーカシングは来談者中心療法の本質であるとする見解があります。

 ロジャースは、心理療法の基本的な心構えを説いているのですから、それほど大上段に考えなくてよいのではないかと思いますし、フォーカシングは来談者中心療法に限らずとも、どのような心理療法でも必要とするプロセスだとも思います。

 来談者(クライエント)が自らの内なる感覚を自ら対象として把握して、その感覚との肯定的な関り方を通して、感覚の変化を促していく、ということです。
 そこに、言葉も用いられますが(言葉にすることで感覚から離れるという指摘もあるのですが)、言葉のやり取りが主となってはいないのです。

フェルトセンス

 その感覚を、フォーカシングではフェルトセンスと呼んでいます。

 フェルトセンスに声をかけていくということは、感覚に働きかけているわけですから変化します。

 その変化は、フォーカシングを身に着けた人が自ら取り組むときと、専門家によってサポートをもらいながら取り組むときでは、違いがありそうです。

 私の催眠療法の師である故吉本武史先生も、自己催眠でもある程度トランスに入っていけるが、信頼できる人にリードしてもらった方が明らかにより深く入っていける、ということを言っておられました。

 私自身も、過去によく自分自身でまさにこのフォーカシングを練習して、実践していました。じわじわと変化を感じられるのですよね。

 このフォーカシングの取り組みについて、昔の本ですが、『現代のエスプリ』の特集を読んでいて、様々な被害体験の扱い方がうまくできるのだなぁと、改めて学びを深めました。

 心理療法において、過去の被害体験を乗り越えるために体験を語る、ということは必ずしも必要ではないというのが現在の主流となってきている視点でもあるとは思われますが、まさに過去の体験を語らずに、そのことを浮かべた時の身体感覚にフォーカスしていくことで変化が促されていき、それが自らの中で定着していく様子を克明に見れたのはよい学びとなりました。

 EMDRでも、過去の話をせずとも、過去の被害体験をプロセスさせますね。
 PEなどは、過去の被害体験にしっかりと向かい合う、というアプローチではありますが…。いろいろとあります。変化が生じる理論が異なるのですから、何が良い、ということではなく、心理士がしっかりと熟練したアプローチを用いて、安心してクライエントさんが取り組める環境を提供できることが何より大切なのでしょうね。

治療関係がポイント

 『フォーカシング志向心理療法』というやはりジェンドリンの著書があり、そちらは私も愛読していたのですが、フォーカシングを進めるに際しても、➀治療関係、②傾聴、そして③にフォーカシングとなっていましたね。

 これは、➀相談に来た人が「安心できる」場を提供できている、②相談に来た人の意識及び無意識の本当のニーズに耳を傾けられているか、そして変化に向けた取り組みがあるのだ、ということですね。
 その時に、フォーカシングという名前を使っていたり、認知行動療法を使っていたり、様々な専門家が訓練して身に着けた技法が出てくるのでしょうね。
 技法が問題を解決するのか、技法を提供する人の存在が解決に資するのか、実は後者が大きいという研究もありますね。

 イメージの研究をしている中で、イメージ療法が進む治療関係について調べる中で必要に感じて調べていたのですが、色々なアプローチはちょっとずつ違っても、結局同じだなぁ、という思いを強くしてしまいました。

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玉井心理研究室では、臨床心理士・公認心理師の玉井仁が個人・家族への心理カウンセリング、組織・団体へのメンタルへルス・コンサルタントとしての研修や各種支援を提供しています。

トラウマや過去の経験にまつわる心の傷、頑張り過ぎや諦めから心を開いて人と関わりにくくなってしまうこと、精神的な疾患での苦しみ、対人関係の苦しみなど、様々な方たちや組織と関わらせてもらってきた経験から、支援や情報を提供しています。

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右の画像、どこにあるか見つけられるでしょうか(笑)

下のボタンをクリックして頂いたホームページの中にあるのですが、見つけられたらすごい!

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