働き方の変化が作る変化
今日は、この新型コロナによる変化で、働き方が変わるのだろうか、などと考えたことを書いてみます。
日本人は、職場への帰属意識が強く、職場に行けなくなることから、働き方も変わるのではないか、ということを考えていました。
そこで、検索で調べてみると、面白い論文に出会いました。
「日本人労働者の企業帰属意識」松山一紀 商経学叢 第59巻3号 2013年3月
関心がある方は直接に検索して読んでもらえばよいのですが、簡潔に一言で(松山さん、理解不足もあると思いますが、すみません)言ってしまうと、日本人は必ずしも企業帰属意識は高くない、という結論でした。所属感はあるけど、帰属感は低い、という言葉でも説明されていました。
帰属感
帰属とは、社会心理学でも使う言葉ですが、出来事や他人の行動や自分の行動の原因を説明するプロセスのことであり、つまり原因を誰かもしくは何かのせいにすることです。
辞書では、「属して、つき従うこと」とも書かれています。
組織への帰属感というと、組織に属して、それに従って働くこと、ということになるでしょうか。
確かに、ここまで言葉を辿ってみると、日本人の場合、職場の文句や上司や仕事の不満などを飲み屋で晴らして、次の日も頑張ろう、なんてノリが多いかもしれません。
人によっては、転職すればいいじゃない、というかもしれません。総務省統計局「労働力調査」データでは、2014年以降、じわじわと転職者が日本でも増えているようです。
転職理由も、収入や勤務時間などの労働条件や職場の人間関係、仕事内容などの個人的な理由を挙げる人が増加しています。
それでも、やはり転職してチャレンジしてみよう、という選択をする人はそれほど多くはないのでしょう。
認知的不協和
アメリカの社会心理学者であるフェスティンガーが提唱した、人は自分自身の内に矛盾がないように物事を解釈する傾向がある、という認知的不協和という理論があります。
あなたが、この外出自粛で少し太ってしまって、お菓子をダイエットのためにやめようとした後、友達からおいしそうなお菓子をもらってしまった、という状況にいるとします。
葛藤しますよね。
その葛藤をクリアーするために、
・お菓子は体に良くないから、と新しい解釈を見出す、
・ダイエットなんてしなくても健康でいられるだろう、とダイエットを否定する、
どちらかの選択をすることで葛藤を乗り越えることができます。
話を本題とつなげましょう。
多くの日本人は、会社や仕事に不満はあるのに、その組織に居続ける、そんな葛藤を乗り越えるために、
・食べるためには仕方がないと、会社を否定する、という立場、
・会社も問題はあるけど、自分が頑張って会社を何とかしてやろう、という立場、
他にもあるでしょうけど、そのようにして自分が会社に嫌でも居続けるための理由を見出すのでしょう。
先の選択肢をもう少し踏み込んで、職業の選択の自由があるのだが、転職を否定的にみる人が多い社会が問題であり、自分の自由は奪われているという解釈をする、という人もいるでしょう。
結果、帰属意識が高まっているのではなく、所属しなければならないけど離れられないから、その理由を何とか探している、ということなのかと想像されます。
今日の結論は、日本人は自社の所属企業への帰属意識が必ずしも高いわけではない、というスタート地点の確認で終わってしまいました。
私も、日本人の帰属意識は高いのかな、とぼーっと考えていたのですが、少し整理されました。
てなわけで、働き方への変化について考え始めた入り口で、今日は終わってしまいました。また続けます。
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