外が怖い、一人が怖い、特定の場所が怖い…
広い場所に立っているときに、ふと足元が不確かに感じて怖くなったことはありますか。
狭い場所で、壁が迫ってくるような気がして、ふと怖くなったことはありますか。
様々な空間や場所において、脳による認識が揺れることはそんな不自然なことではないのでしょう。錯覚、によることも多いのでしょうけれども…。
ただ、特定の状況で、その実際の状況とは明らかに釣り合わない不安や恐怖が繰り返される、そんな状態になってしまうと日常生活も脅かされてしまいますよね。
広場恐怖症の初発は、2/3は35歳前とされていて、青年期後期や成人期初期が危険な時期、そして次には40歳以降に次の危険気があるとされています。
遺伝率も高いとの報告があり、広場恐怖症の発症は恐怖症になりやすいことを示す遺伝要因と最も強く関連しているとされています。
広場恐怖症の診断基準について DSM5による
DSM-5の診断基準を一部そのままに、そして簡潔にして紹介します。DSM-5とは、アメリカでつくられた精神疾患の分類と診断の手引きなので細かいものです。【】はその項目をまとめたものですので、一般の皆さんにも分かり易いかと思います。
A.以下の5つの状況のうち2つ(またはそれ以上)について著明な恐怖または不安がある。
(1)公共交通機関の利用(例:自動車、バス、列車、船、航空機)
(2)広い場所にいること(例:駐車場、市場、橋)
(3)囲まれた場所にいること(例:店、劇場、映画館)
(4)列に並ぶまたは群衆の中にいること
(5)家の外に一人でいること
B.【破局視や回避】パニック様の症状や、その他耐えられない、または当惑するような症状(例:高齢者の転倒の恐れ、失禁の恐れ)が起きた時に、脱出は困難で、援助が得られないかもしれないと考え、これらの状況を恐怖し、回避する。
C.【いつも繰り返される】広場恐怖症の状況は、ほとんどいつも恐怖や不安を誘発する。
D.【積極的な回避】広場恐怖症の状況は、積極的に避けられ、仲間の存在を必要とし、強い恐怖または不安を伴って耐えられている。
そして体験される恐怖や不安は、その文化社会的状況に見合わず、回避行動も含め6か月以上続き、社会生活を困難にさせているのです。更には、他の身体疾患や精神疾患では説明できないもの、となっています。
広場恐怖症は、社交不安症とは異なり、他者評価は気にしませんが、その恐怖の強さから家から出ることが困難、という人もいます。
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