対人恐怖・社会恐怖
日本では、対人恐怖という言葉を耳にすることが多いですね。
視線恐怖も同様です。
人見知り・内気・引っ込みといった行動抑制や、否定的評価に対する恐怖を原因とするものですね。
行動抑制については、遺伝を原因とする割合も指摘されていますし、成育環境の影響も同様です。
対人恐怖は、日本人は高いのだろうと思っていましたが、川上憲人先生らが2002年ごろに行った調査では、この社交不安症の有病率は0.8%、一方DSM5によるアメリカのデータでは、約7%となっており、驚きです。
社交不安症の診断基準について DSM5による
DSM-5の診断基準を一部そのままに、そして簡潔にして紹介します。DSM-5とは、アメリカでつくられた精神疾患の分類と診断の手引きなので細かいものです。【】はその項目をまとめたものですので、一般の皆さんにも分かり易いかと思います。
A.【人目がとても気になる】他者の注目を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安。例として、社交的なやりとり(例:雑談すること、よく知らない人と会うこと)、見られること(例:食べたり、飲んだりすること)、他者の前でなんらかの動作をすること(例:談話をすること)が含まれる。
注:子どもの場合、その不安は成人との交流だけでなく、仲間達との状況でも起きるものでなければならない。
B.【ネガティブな評価を受けることを過剰に恐れる】その人は、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち、恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう、拒絶されたり、他者の迷惑になるだろう)。
C.【いつもある】その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する。
D.【社交場面から逃げるか、耐え忍んでいる】その社交的状況は回避され、または、強い恐怖または不安を感じながら堪え忍ばれている。
E.【現実のリスクに見合わない恐怖・不安の強さ】その恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない。
F.【6か月以上、長く続く】その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6ヵ月以上続く。
G.【社会生活上の困難が引き起こされている】その恐怖、不安、または回避は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こす。
そして、他の病気やお薬などの影響では説明できないことが指摘されています。
また、この不安について続いて書きますね。
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