認知行動療法

心の錯視 拡大視・縮小視 考え方のクセ⑩

 「虫の目、鳥の目、魚の目」そんな言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。虫の目とは、虫が地面を歩く時、地面の砂の一つ一つが大きく見えていることでしょう。つまりミクロな細かく見る目を持とう、ということです。鳥の目とは、高い空から地面を眺めるように、大きく俯瞰する視点を持とう、ということです。魚の目とは、潮の流れを感じるように、流れを把握する感覚を持とう、ということです。

 何か新しいことに取り組むとき、このような3つの目を持つことが大切だ、などと教えてくれた人がいました。意識していくことで、このような目を持つこともできるのでしょう。大きなマクロな視点、小さなミクロな視点、そして流れを感じる感覚、ともいえるでしょうか。

 人が大きい、小さいといった大小の概念を持つのは、遠城寺式乳幼児分析的発達検査によると、2歳3ヶ月頃から2歳6ヶ月頃とされています。かなり小さいころから、この概念を身に付けるんですね。

 そして人はその力を、困った形で活用してしまうこともあるようです。自分の失敗は大きく、成功は小さく見るのです。失敗のことを虫の目でみると大きく感じてしまいそうです。成功のことを鳥の目で見て、小さく感じるのかもしれません。まるで、エビングハウス錯視のようです。

 錯視は、人が持つ見え方の傾向です。実際に、大きさが同じかどうか、計ってみると内側の円は同じ大きさであることが分かります。言い換えると、現実的にちゃんと図らないと、間違った感じのままに信じてしまうのです。拡大視・縮小視は仕方のない錯視のようなものでしょう。それから自由になるために、失敗の大きさ、成功の大きさを客観的に測定することが必要ですね。

エビングハウス錯視

インナーチャイルドとの対話 3回シリーズ講座のご紹介

幼少時の傷つき体験に対して、「記憶の書き換え」技法は認知行動療法でも特に海外で研究が進み、日本でも少しずつですが認知されてき始めています。

皆さんには、「インナーチャイルドワーク」の方が耳慣れているかもしれません。様々な精神疾患に対して、またより広くは生きづらさを抱える方にとって、傷ついたまま癒された実感のない過去の記憶に対するアプローチは、パワフルな効果をもたらします。

10月から毎月、少しずつですがそのようなインナーチャイルドとの取組みの紹介、その実践に触れて頂き、自分との関係を温かく豊かなものとしていくきっかけとして頂ければと思います。

※3回シリーズで企画していますが、一回ごとの参加も可能です。

【日時】 1日目 令和元年10月28日(月) 午後6時30分~8時(終了)

2日目 令和元年11月25日(月) 午後6時30分〜8時

3日目 令和元年12月16日(月) 午後6時30分〜8時

【会場】 パレット柏ミーティングルーム(各回部屋が異なりますので、ご確認ください)

(千葉県柏市柏1-7-1-301:JR常磐線柏駅より徒歩3分)
【講師】 玉井 仁
【参考図書】 『自分をもっと好きになるノート』(右掲) 2019 日本能率協会マネジメントセンター

インナーチャイルドとの対話