認知行動療法

苦しみのトンネルから出られなくなる 先読みの誤り 考え方のクセ⑨

 調子が悪くなったとき、この状態はずっと続くに違いない、そんな思いにとらわれてしまうことはないでしょうか。

 「先読みの誤り」という考え方のクセです。

 ある年配の方は、転職を繰り返してきたと言います。会社の先行きが不安になると、倒産する前に辞めてしまおうと、すぐに転職をしてきたとのことです。そして過去に辞めてきた会社を振り返ると、今でも続いている会社が多いとか…。

 うつ病の方も、「もう治らないに違いない」「治ったとしても幸せな人生はもう持つことはできないだろう」といった考えから自由になれなくなるものです。

 心身に余裕がなくなり苦しくなると、視野が狭まります。苦しいとき、一瞬が永遠に感じます。先のことを考えているつもりでも、先のことは考えられなくなり、苦しみのトンネルから出られるなんて想像すらできず、苦しみのトンネルの住人となってしまうのです。

 人間は大脳皮質が発達したおかげで、記憶を意識のうちに再生することができます。そしてその積み重ねられた情報は、先々への予測へと利用されます。つまり、人は先のことを考えることを条件づけられているのです。

 そんな人が、苦しみの世界に囚われながら、先のことを考えてしまう。そんなとき、「先読みの誤り」からはそう簡単に逃れられません。殆ど必然です。

 「先読みの誤り」の経験を学習し、それが体験的に間違っていることを繰り返し確認していくことで、このクセから自由になっていく術を身に付けるのです。マインドフルネスなど、今に集中する練習も、先のことを考えて悪循環に陥るということが減るので、役立ちますね。

インナーチャイルドとの対話 3回シリーズ講座のご紹介

幼少時の傷つき体験に対して、「記憶の書き換え」技法は認知行動療法でも特に海外で研究が進み、日本でも少しずつですが認知されてき始めています。

皆さんには、「インナーチャイルドワーク」の方が耳慣れているかもしれません。様々な精神疾患に対して、またより広くは生きづらさを抱える方にとって、傷ついたまま癒された実感のない過去の記憶に対するアプローチは、パワフルな効果をもたらします。

10月から毎月、少しずつですがそのようなインナーチャイルドとの取組みの紹介、その実践に触れて頂き、自分との関係を温かく豊かなものとしていくきっかけとして頂ければと思います。

※3回シリーズで企画していますが、一回ごとの参加も可能です。

【日時】 1日目 令和元年10月28日(月) 午後6時30分~8時(終了)

2日目 令和元年11月25日(月) 午後6時30分〜8時

3日目 令和元年12月16日(月) 午後6時30分〜8時

【会場】 パレット柏ミーティングルーム(各回部屋が異なりますので、ご確認ください)

(千葉県柏市柏1-7-1-301:JR常磐線柏駅より徒歩3分)
【講師】 玉井 仁
【参考図書】 『自分をもっと好きになるノート』(右掲) 2019 日本能率協会マネジメントセンター

インナーチャイルドとの対話