調子が悪くなったとき、この状態はずっと続くに違いない、そんな思いにとらわれてしまうことはないでしょうか。
「先読みの誤り」という考え方のクセです。
ある年配の方は、転職を繰り返してきたと言います。会社の先行きが不安になると、倒産する前に辞めてしまおうと、すぐに転職をしてきたとのことです。そして過去に辞めてきた会社を振り返ると、今でも続いている会社が多いとか…。
うつ病の方も、「もう治らないに違いない」「治ったとしても幸せな人生はもう持つことはできないだろう」といった考えから自由になれなくなるものです。
心身に余裕がなくなり苦しくなると、視野が狭まります。苦しいとき、一瞬が永遠に感じます。先のことを考えているつもりでも、先のことは考えられなくなり、苦しみのトンネルから出られるなんて想像すらできず、苦しみのトンネルの住人となってしまうのです。
人間は大脳皮質が発達したおかげで、記憶を意識のうちに再生することができます。そしてその積み重ねられた情報は、先々への予測へと利用されます。つまり、人は先のことを考えることを条件づけられているのです。
そんな人が、苦しみの世界に囚われながら、先のことを考えてしまう。そんなとき、「先読みの誤り」からはそう簡単に逃れられません。殆ど必然です。
「先読みの誤り」の経験を学習し、それが体験的に間違っていることを繰り返し確認していくことで、このクセから自由になっていく術を身に付けるのです。マインドフルネスなど、今に集中する練習も、先のことを考えて悪循環に陥るということが減るので、役立ちますね。