私は音楽を長くたしなんできているのですが、音楽の表と裏、つまりメロディの主旋律と副旋律の調和の大切さを感じるときがよくあります。
子供と一緒にピアノを演奏する機会があると、メロディ以外の部分(大抵は左手の副旋律)の演奏を嫌がる子が多いです。でも、音楽の楽しみを大きくするためには、メロディを引き立たせる脇役の副旋律をいかに豊かにするか、という点にあるような気がします。確かに、メロディと合わせずに脇役部分だけを演奏すると、つまらなく感じられるかもしれません。特に、あまり楽譜を読めない方にしてみたら、そんな副旋律を練習するのは苦痛でしかないでしょう。
ただ、そんな脇役の副旋律がメロディの主旋律と調和していくのを聴いていくと、その脇役がどんなに重要な役割を果たしているかを発見できるのです。その時、音楽の奥深い楽しさを感じ、音楽が持つ癒しの力に触れることができるのではないかと思います。
日本には多数の合唱団がありますが、合唱が多くの人を魅了してやまないのは、合唱を通してそういった音楽の持つ旋律の紡ぎ合う癒しに、皆さんが触れているからではないでしょうか。それぞれの声部を練習しているときは物足りなくても、これが全て合わさったらどんな響きが生まれるのだろうと想像するとワクワクします。そこにピアノ伴奏が彩を添えて、完璧です。
音楽は、聴いて癒される場合もありますが、自分が演奏するとまた違った癒に触れられるように感じます。ハーモニーを作り出すこと、その一員として参加することです。オーケストラでも、低音楽器や打楽器はなかなかメロディを奏でる機会はありませんが、自分がいかに重要な役割を果たしているかを自覚しているから、決してつまらないとは思わないし、全ての楽器が合わさって生まれる音楽の力を感じるのです。
オーケストラだと、ある程度楽器演奏を習得していなくてはなりませんが、歌ならハードルは低くなります。他人と合わせるのが面倒な人は、ピアノなら自分一人で主役も脇役も演じられます。
是非、主も副もメロディ以外の旋律も楽しみ、ハーモニーを感じて感動し、心を豊かにして頂きたいと思います。かくいう私も、コーラスではソプラノでいつもメロディを歌っていたいタイプなんですけどね。