ヒステリー
この言葉は、大きく二つの意味を持つでしょう。
一つ目は、一般的に感情的でそれをコントロールできない状態を指します。
もう一つは、今回のブログで書く、転換性障害のことです。現在は、ヒステリーという言葉が診断名に含まれなくなりましたが、ヒステリーという用語とその意味するところはしっかりと押さえておくことは必要です。
ヒステリックな人、というと女性かな、という感覚を覚える年配の人たちもおられることでしょう。
これは、宗教的な意味も含め、脳や精神の機能が明らかではなかった過去、古代ローマでは女性の様々な病気の原因として、子宮に因果関係に求めたことによるのです。
では、後者の精神病理の中で語られてきたヒステリーについて、もう少し書いておきましょう。
感情を体が代弁する
人は、怒っている時に「怒り」を認識でき、悲し時に「悲しみ」を認識します。
ただ実際には、それらの感情を認識できないこともしばしばありますね。
そして苦しい感情が大きすぎて心で受け止められずに、体が受け止めざるを得ない状態になり、ヒステリー症状を示す、というわけです。
体が心を助けてくれ、心が体を助ける、そんな関係なのですね。
ヒステリー症状として、歩けなくなったり、体の震えが止まらなくなったり、身体感覚がなくなったり、しゃべれなくなったり、耳が聞こえなくなったりするなど、いろいろな症状がみられます。
離人症・現実感消失症など、更には解離症などともともに存在することは多いと言われます。どちらも、自分の心では受け止めきれないことを抱えてきているから、という理解では納得のいくところでしょう。
診断の難しさ
変換症という診断をくだすのは、どうも難しいことがあるようです。
というのは、その症状が意図的に作り出されたものではない、という証明が難しいからです。DSM5の診断基準によると、意図的ではないという判断は必要ではないとされているようですが…。
実際には、無意識のなせる業、とも言えるでしょう。
生命を維持するために、心的機能、身体的機能をフル活用させているのですね。
そして、疾病利得というような、病気であることで経済的支援を受けられるというような外的利益がある、ということが明らかに疑われる場合には、作為症または詐病という判断がされることもあるのです。
ウーン。
心理療法などにおいて、少しずつ可能なところから自分の体験を整理していくこと、そして自分の中の奥深くに封印されているようなことを紐解いていく過程、抑え込んで感じられなくなっていた感情を解放していく作業と共に、現実的な対処検討を高めていくことは、回復に向けて役立つ支援ですね。
玉井心理研究室のメインホームページや、ほかのブログでもいろいろな情報を発信していますので、ご覧頂ければ嬉しいです。
気に入った情報や文章などがありましたら、当研究室のブログからとして広げていただけたらありがたいです。