止められない儀式
やめられない、とまらない。笑い事ではない。
洗い場で手を洗い続ける。皮膚が破け血がにじんでいるのに、洗うのを止められない。悲劇的な状況が続きます。
力づくで引き離しても、必死に戻っていきます。なんで、と思うほどに…。
強迫症、以前は強迫性障害と言いましたが、これは本当に止められない行動と思考の病気です。
この病気は、若いころから発症することが多く、DSM5では男性患者の25%の人は10歳前に発症しているとも報告されています。
強迫症の診断基準について DSM5による
DSM-5の診断基準を一部そのままに、そして簡潔にして紹介します。DSM-5とは、アメリカでつくられた精神疾患の分類と診断の手引きなので細かいものです。【】はその項目をまとめたものですので、一般の皆さんにも分かり易いかと思います。
A. 強迫観念、強迫行為、またはその両方の存在
強迫観念は以下の(1)と(2)によって定義される:
(1)【突然に頭に入ってくる特徴的で強い苦痛を伴う思考やイメージの存在】繰り返される特徴的な思考、衝動、またはイメージで、それは障害中の一時期には侵入的で不適切なものとして体験されており、たいていの人においてそれは強い不安や苦痛の原因となる。
(2)【(1)のイメージを抑え込もうとする努力】その人はその思考、衝動、またはイメージを無視したり抑え込もうとしたり、または何か他の思考や行動(例:強迫行為を行うなど)によって中和しようと試みる。
強迫行為は以下の(3)と(4)によって定義される:
(3)【駆り立てられる行動から自由になれない】繰り返しの行動(例:手を洗う、順番に並べる、確認する)または心の中の行為(例:祈る、数える、声に出さずに言葉を繰り返す)であり、その人は強迫観念に対して、または厳密に適用しなくてはいけないある決まりに従ってそれらの行為を行うよう駆り立てられているように感じている。
(4)【囚われた行動などは不安を軽減するために役立つ】その行動または心の中の行為は、不安または苦痛を避けるかまたは緩和すること、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている。しかしその行動または心の中の行為は、それによって中和したり予防したりしようとしていることとは現実的な意味ではつながりをもたず、または明らかに過剰である。
B. 【1日の多くの時間をその強迫に費やさざるを得ない】強迫観念または強迫行為は時間を浪費させる(1日1時間以上かける)。または臨床的に意味のある苦痛、ま たは社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
そして、他の診断基準と同様に、薬物や他の疾患の影響ではなく、社会生活を送ることを妨げるほどのものとなっていることが指摘されています。
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