モデリング
子供は、他の人たちを見て、真似をして様々なことができるようになります。バンデューラという心理学者が「モデリング」という概念を唱えましたが、これは基本的な社会的学習過程を説明しているのです。
怒りを表現している人をみて、自分のイライラした感情も発散したような気持ちになることもありますよね。格闘技などを見る要因の一つに、このモデリングもあるのです。
「取り込み」で内在化される対象
子供の頃、新しいことをするときに、周りの人のすることを見た、という経験がある人は多いでしょう。これは、大人になっても同じで、優れた人を見て学習しなさい、というのも同様です。見たものを身に付けていくのです。
精神分析で語られる防衛機制の1つを取り上げて説明することも可能です。「取り込み(introjection)」です。摂取とも言いますね。これは他者が持っている気持ちや行動の特徴といった性質を、自分が持っているものだと考えて経験することです。
マーラーの分離固体化理論では生後すぐの子供は、母親と一体化していますが、時間が経っても殆どの小さな子供は、親の気持ちや欲求を自分自身のものと考えてその期待に応えリうように行動しがちです。このような過程を経て、親の価値観や社会のルールを学習していくのです。
インナーチャイルドとは、まさにこの取り入れられて内在化された対象、ということもできるのです。子供として親から言われたことに素直に従うときもあれば、反発するときもあったと思います。いずれにせよ、その反応の仕方には取り入れられた学習経験が影響するのです。
身に付けたパターン
このように、人は他者を真似して、取り込んで成長していきます。極端な反応も、バランスの取れた反応も学習の結果です。大人になっても、その学習は続いています。子供の頃のように自然に身につかないものもありますが、意識して練習することで子供の時代にかけた時間よりも短い時間で学ぶことができることも少なくありません。
自分のインナーチャイルドが身に付けているパターンを変えていくことは、今の自分が新しいパターンを身に付けていくことと同義なのです。