境界線とは
境界線という言葉、聞いたことがあるでしょうか。自宅でも、隣の家の土地との間には境界線がありますよね。市と市の間にもあります。家の中と外にも、線があります。
自分と人の間の線、自分のパーソナルスペースの内と外、そんな線がありますよね。このような線を、心理的な境界線と呼びます。
3つの種類の線
この境界線には、3つの種類がある、ということを提唱したのが家族療法で有名なS.ミニューチンです。
上の3つの線、左の線から解説していきましょう。左の線は、しっかりとした太い線です。この時には、自他の間には揺るぎない線があり、相いれない状態を示しています。相手と距離を置く、相手と関わらない時に引いている線です。
真ん中の線は、バランスの取れた柔軟な線です。この時には、幾つか嫌なものは嫌と言ってはね返しますし、幾つかは受け入れられる、そんな自由な選択ができている状態を示しています。好ましいと感じられる人間関係で持てている線です。
右側の線は、薄くあるかないか、そんなあいまいな線です。この時には、自他の境界線がなく、自分と相手は一体化している状態を示しています。一体化してお互いに意見が一致しているときには素晴らしく良い感じがするのですが、一致していない時には自分か相手のどちらかを否定したり、押さえつける、そんな不健全な関係の線でもあります。
恋愛から考える境界線
恋愛から考えると、これらの線は分かりやすいかもしれません。恋愛初期には、二人はお互いの共通点を探したり、「私たちって一緒だよね」というモードに入ります。この時期は、一体感を希求するのでで、あいまいな線しかひきませんね。時間が経つにつれ、そんな二人も熱愛の時期が過ぎ、お互いの違いが見えてきます。それでも、お互いによいときは一緒に楽しみ、時にはそれぞれ別でお互いを尊重する、そんなバランスの線に移っていきます。
時に、二人がケンカする時、一時的に太い線が引かれてしまいます。関係が終わる時にも、しばしばこの線が引かれます。ただ、続く関係の場合には仲直りしてバランスの線に戻ればよいのです。
どの線の辺りが自分の中心だろうか
人は、時にこの線の右から左へと、動きながら生活しています。上述の恋愛のように、戻る場所がどこかによって、その関係がどのようなものなのかがわかります。また、人によって、特定の人との関係だけではなく、全般的に自分の対人関係一般では、どの辺り線を引いているのかな、どんな距離感を持っているのかな、ということを考えてみることも有益です。
左の太い線に近いほうが自分の中心となっている場合には、人との距離を少し強く引きすぎて、うまく交流できない状態が続きがちなのかもしれません。一方右のあいまいな線に近いほうが自分の中心となっている場合には、うまく人との距離が取れずに、人に合わせすぎていたり、人は自分に従うものだと暴力的になっていたりといった状態になっている筈です。
自他の境界線をどのように引いていけばよいのか、これはとても大切なテーマです。検討する項目も多いのですが、しばらくこのテーマもぽつぽつ書いていきたいと思います。