「耳」の機能は「聞く」こと
私たち人間は耳を持ち、それが適切に機能していて、音を拾うことができる。それが人の発する声である場合、その音つまり声を通して情報の共有もできます。
最近は空気の振動ではなく、頭蓋骨に直接に振動を与えることで、空気の振動に代わり音と認識するように耳の神経に伝わる形でコミュニケーションをする、という仕組みも開発されているようです
全身全霊で「聴く」こと
さて、この人が持つ耳の機能を人間が持つ様々な機能に統合していくとき、そのレベルによっては空気の振動だけではない、実は奥深いもののようです。聴覚のみならず、視覚、嗅覚、触覚、身体感覚、味覚は少ないかもしれませんが、場合によってはあるかも…、そんな5感全てを使って聞くのです。その時、単に音を聞いているのではなく、全身全霊で相手やその場を感じる、聴いているのです。
もし自分の体調が悪く、集中できないようであれば、聴くことはできません。自分の価値観と反する話しについても、自分の価値観を十分に相対化して横に置くだけの訓練をしていないときには、聴くことができません。聴いている中で自分の中に湧き上がる感情が強くなりすぎても、また何も湧き上がるものがなくても、そしてそれらによって体に力が入ってしまっても、継続的にしっかりと聴くことはできません。
そして、話を聴けていないことを、話している人は感じ、話す内容を変えていきます。しっかり聴いてもらえるほど、心を開いて話していきやすくなるのです。
聴く中での相互交流
相手の話を聴いていて、言ってみたいことが出てきて、それを伝えたときの押す波も引く波もあります。更にお互いの話す・聴くが広がっていく場合もあれば、間口が狭まってしまうこともあります。
この聴く取り組みは、まるで私にとっては剣道の修行を続けるようなものですね。基本的に聞くことは誰もができることながら、聴くこととはずいぶんと違い、聴けるようになったと思ったらできなくなる、できていないと思ってできている、謙虚に柔軟に、丁寧に大切に。
生き方のようです。