過去はなかった診断基準
発達障害は2000年を超えて随分と注目された診断です。
1950年代では精神遅滞、学習障害と言われるような症状のみが定められており、1980年代では広汎性発達障害、注意欠陥障害、トゥレット症候群など、その後になってアスペルガー障害なども提唱されていきました。
日本では、2004年12月に発達障害者支援法が国会を通過し(翌年施行)、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されました。
結果、身体障害、精神障害、知的障害に加えて発達障害が法律上も障害の仲間入りをしのです。
それまでは、対人的な相互反応の問題、社会性の問題、言語・非言語によるコミュニケーションの問題、想像力の欠如などの社会生活を送るうえでの障壁が大きくても、知的障害を伴わないと支援の対象とならなかったのですが、ようやく支援が届けられるようになったのですね。
今は、脳の発達の偏りは誰もが多少はあるものとして、発達障害を病気とみなさずに、個性としてみていこう、という流れも大きいですね。
私自身、発達障害の勉強をして多くの体験談に触れていったとき、「私も偏っているなぁ」と感じたことを覚えています。
自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
DSM-5におけるASDの診断基準は、「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された興味」の2つを満たすとされています。
典型的には生後2年以内に明らかになるとされ、3歳までに症状がそろいます。
有病率は0.65〜1%とされ、性差は男児において女児よりも4倍とされ、45〜60%は知的障害を、11〜39%はてんかんを併発しています。
原因は、現時点では脳機能の変異とされています。
治療のゴールは、中核症状および関連症状を最小化し、さらに患者のQOL(生活の質)を最大化し患者家族のストレスを軽減することに置かれており、子供に対する療育が重視されています。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
多動性、衝動性が強く、不注意で落ち着きなく、同じペースを維持することができません。ほかの子どもにちょっかいを出し、切り替えが悪く、的外れの突然発言、居眠り、聞き取りが悪く、適切に注意を払うことができない、不注意で忘れやすい子どもたちに対して出される診断ですね。
もちろん、大人にもありますけどね…。
そのような症状が社会的・学業的・職業的生活を損なわせている、またはその質を低下させてしまいます。
自己理解
大人になってから、ASDであるということがわかるということは、多くの場合仕事や家庭でのコミュニケーションの苦労が絶えなかったからと思われます。
実際に、自分の発達の凸凹がはっきりすることで、自分の認識が偏っていること、人はどうなのかということを改めて学習していくこと、そして様々な可能な環境調整も進めやすくなります。
カサンドラ症候群
これは、パートナーや家族がアスペルガー症候群であるために情緒的な相互関係を築くことが難しく、不安や抑うつといった症状が出る状態です。
わかってほしい人にわかってもらえない、わかってもらえる実感がない、これは寂しいことですね。
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