インナーチャイルドのワーク
認めたくない過去があり、それを受け止めることは難しいです。
それを見ないように拒絶する、過去にSymmingtonの“拒絶された対象”という概念を使い、その拒絶が衝動性とどのようにつながるのか、過去の論文で整理しました。
概念的には“拒絶”ですが、それは神経系の興奮でも説明できるようになりつつあり、当然身体感覚に繋がります。近年のトラウマ治療における知見の広がりは、大変に勢いがあります。
簡単に言うと、実際にあったことでも認めたくないことはどうしようもなくあります。ただ、そのことを認められずに封印し続けようとしながらも、時折その記憶や感覚が勝手によみがえることで、自分の感情などが暴走してしまうのです。
そのとき、封印された過去の中に置き去りにされた過去の自分は、ケアが届かないままに放置されてしまっているのです。
それ故に、過去の苦しい時の自分と関わり、ケアを届け、新しい感覚やスキルを身に着けていく過程は、苦しみからの解放なのです。
統合
そして、過去は今の自分と一致していくのです。
今現在の楽しい時間に、過去の自分も一緒に過ごしている気がする、長くインナーチャイルドと共に親しんできた人の中には、そのように語り始める人がいます。
生まれて、現在に至るまでを温かく受け入れ、現在がいいから、ということに固執せず変化に身を委ね、自然に生き、死ぬまで生きていくのです。
現在がよいから、ということでそこに固執すると、“拒絶”が生じてナルシスティックな問題を生じるのです。
私自身も、ときどき囚われに気が付きます。
そんな自分を否定せず、気が付いたことを認め、続けていくのです。
心理療法・カウンセリングの世界の先人たちから引き継いだ経験、知識と知恵を引き続き深め、次につなげていきたいと思います。
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