私は衝動性について、長く注目して検討を重ねてきました。これは、臨床の場面で衝動的になることの大変さを訴えている人たちと多く接してきたからです。
少し古いのですが、2012年に心理臨床学研究に掲載された玉井の論文では、シミントン(Symington)の理論を土台に、自己破壊行動から他者への攻撃に至るまでの衝動性がどのように出ているのか、検討させてもらいました。
その中の検討の一部を簡単に言うと、「拒絶された対象」を持っている間は、衝動的にならざるを得ない、ということなのです。受け入れられないことがあると、そのことは「拒絶されている対象」となります。そして、何かを拒絶している間は、その何かを警戒し続けなければなりませんし、その何かが近づいた時には暴れてでも自分を傷つけてでも自分の世界から排除しようとする、または自分の意識の外に飛ばす、ということが行われるのです。
シミントンは、「ナルシシズムはあらゆる精神障害の源である」と述べていますが、最近の出来事を見ていると、そうだなぁと思うことしきりです。精神障害のみならず、対人関係を壊し、自暴自棄になり、そんな状況を悲しみ、そんな状況にした自分をさげすみ、自己否定に陥ります。
自分が受け入れられないこととどのように付き合えるか、その探求が自己成長につながる、という側面もある、ということかと思います。
被害者意識とのつながりは、明日に書きたいと思います。とりあえず、3日間ほどこのテーマで続けてみます。
参考文献 Symington N(1993/2007)臨床におけるナルシシズム 創元社