ラッセルのパラドックス
昨日のブログで、リカージョンについて説明し、心の成長とつながるのではないかという話を展開しました。
今日は、もう一つ違った視点を紹介してみたいと思います。
ラッセルのパラドックスです。
イギリス人の哲学者であり数学者、ノーベル文学賞まで取っているラッセルは、「自分自身を含む集合」を考えると矛盾に突き当たる、というパラドックスを明らかにしました。この矛盾は数学の危機として受けとめられ、その克服を目指して数学基礎論の分野が成立したのです。
わかりにくいですよね。簡単な例があると良いのですが…。
①人について客観的に述べながら、自分については一切含まないリスト
②自分のことも含め、人のことについて客観的に述べたリスト
うーん、どうだろう。
まあ少し解説を。②は普通にありますね。心理本などはそうです。多くの心理学者たちが書く著書の内容も、自分のことも必ず対象として含めています。これが自分自身を含む集合です。
①のように、客観的な人についてのリストは、自分とも重なってしまうため、成立しませんよね。つまり、主観を一切排除した完全な客観はありえないのです。
理髪師のパラドックス
同じくラッセルによる、ちょっと面白いパラドックスの説明もあります。
「ある町で,この理髪師は自分の髭を剃らない人すべての髭を剃る.ではこの理髪師は自分の髭を剃るのだろうか?」
自分で髭を剃らないのであれば、自分で髭を剃らなくてはなりません。自分で髭を剃るのであれば、自分で髭を剃らないことになります。
まさに矛盾です。
主観と客観
この二つも、まさにこのパラドックスに含まれるのですね。
リカージョン、ラッセルのパラドックス、人はその検討の途中で、「よくわからない」となってしまいます。
そして、人はその矛盾を内包するとき、深みを感じるのかもしれませんね。
白黒つかない世界、つながりのある世界ですね。
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