トラウマ治療に対する新しい心理療法の発展
心理臨床家の友人で、センサリーモーターサイコセラピーのトレーニングをしっかりと海外で受けてきている人がいます。
かつて、私と一緒にトラウマ治療に取り組み、検討を深めた人で、その後私は認知行動療法にご縁を深めていったのですが、その人は海外に住んだり忙しくしていたので、トラウマ治療の海外の最前線の話をよく教えてくれました。
センサリーモーターサイコセラピーについても、日本で翻訳が出たときに、関心があったので手にとって繰り返し読み、臨床の幅は広がっていった記憶がある。
トラウマを扱う際に、どうしても感情よりも深い感覚のような部分の変化が生じないと、どうしようもないなぁと感じて、私はインナーチャイルドや記憶イメージの書き換え技法などのイメージワークの取組みへとその活路を見出していったのです。
センサリーモーターサイコセラピーでも、その感覚にいかにアプローチしていくのかを検討しているのを知って、意を強くしたのを思い出します。
多くの臨床家や精神科医たちは、人の心の奥深くで生き延びようとする、トラウマという厄介な生き物にどのように対処するのか、日々考え、取組みを続けています。
ポリヴェーガル理論・耐性の窓
トラウマを抱える人の体の奥深いところに残る感覚、ときにそれは自分の意に反して大暴れし、 冷え冷えする感覚をつよくします。
その感覚に名前を付けるならば、自己否定感といってもよいのでしょう。
変えようがなく、動き難く感じるその感覚に、触れる準備を重ね、耐えられるだけ少しずつ触れていきながら、絡まった糸をほどいていくように、根気よく少しずつ開放していくのです。
深い身体感覚は、どのような神経が活性するか、ということとつながっています。それを理論化したのが、ポージェスが唱えたポリヴェーガル理論です。それはダニエル・シーガルの提唱した耐性の窓という発想とつながることで、より臨床的な側面における発展を著しいものとしました。
過去の出来事から自由になれていないように感じている方、結果として自分の感情の起伏のコントロールができなかったり、対人関係における適切な距離感を維持できなかったりするといったことに苦しむ人は少なくありません。
玉井心理研究室でも、現在の混乱や苦痛から自由になれない方で、過去のトラウマとつながっていると思われる人の支援には、特に力を入れております。
玉井心理研究室のメインホームページや、ほかのブログでもいろいろな情報を発信していますので、ご覧頂ければ嬉しいです。
気に入った情報や文章などがありましたら、当研究室のブログからとして広げていただけたらありがたいです。