脳と心の動きから 程度の問題だけれども…
今まで書いてきた、パニック症、社交不安症、そしてこれは書いていませんいが、特定の恐怖症などは恐怖が中心症状であり、恐怖の脳内機構が明らかにされつつあり、恐怖-サーキット障害とも呼ばれているようです。
簡単に言うと、危険を察知し、防御機能をつかさどる扁桃体がその恐怖の中心的存在なのですが、これらの不安症は扁桃体の過活動を前頭前野が抑制できなくなった状態、ともいえるのです。
不安症は、不安傾向の気質を持つ人が、何らかの刺激をきっかけに極端で激しい病的な不安に進んだ状態とも言えます。
広場恐怖症では、その症状である回避行動が恐怖対象を大きくしていき、病気がシビアなものと進んでいくのです。
それ故に、多くの人にとって、理解されにくく、「単なる不安じゃない」と言われてしまうのです。
転んですりむいて血が出てしまった、というのと、転んだところにガラスが転がっていて刺さって大出血、というのの違い、と言ってもいいのだろうか。
子供の頃、転んでいつも膝小僧をすりむいている友達がいて、そいつがまた転んでひざから血を流していたけれども、親は「いつものこと」と放っておいたのです。ただその傷を見て、他の身近にいた大人が病院に連れて行ったら、3針縫った、ということを思い出します。
たいしたことない、と思ってしまうんですよね。
北海道が寒いね、というのとシベリアの内陸部が寒いね、という違いも同様だろうか。これもわかりにくいか…。マイナス10度の世界と、マイナス40度超の世界、随分と違うらしいです。
程度の問題だけれども、その程度が普通/病的を分けているのです。
医療と心理
広場恐怖症に対する心理療法の選択肢としては、様々あるのかもしれませんが、認知行動療法は有効だと思われます。
こんな事ばかり書くと、私が認知行動療法の専門家だから書いているって思われないかな、なんて考えてしまうのですが、実際に多くのエビデンスが積み重ねられていますし、治療のガイドラインにも出てくるのです。
手前みそのようですみませんが、ご容赦ください。認知行動療法については、ほかの日にポツポツ書いてきているので、ここでは詳細は省略します。
そして、医療機関での治療も役立ちますね。
上にも書きましたが、脳の研究も進み、脳のバランスを整えるために、心理的側面からのアプローチ、環境調整や、投薬によるバランスの再調整なども進みます。
今回は、すごくざっくりですがここまでです。
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