大丈夫か、日本
令和2年の正月前後のトップニュースは、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏の国外逃亡劇のことでしたね。
ゴーン氏の国外脱出は、殆どスパイ映画のような劇場型犯罪で、多くの人が注目したのでしょう。
確かに、この劇の主演料としてゴーン氏は沢山のお金を積んだようですが、お金さえ出せば簡単に逃げられてしまう、それも注目している人が…。
日本って、本当に自由を大切にする国なんだなぁ。
優しさを大切にするあまり、現実的な厳しさを避けるようになっていないだろうか。人権と国権は、対立するものでもありませんけどね!
昔から、日本はスパイ天国と言われていますが、実際にこのように目の当たりにすると、何となく感じていたことがリアルになります…。
ゴーン氏の言い分
人は、自分の信じる正義のためならば、無理をしても頑張るもののようですね。スパイなども、自分の信じる何かのために、頑張るのでしょう。
ゴーン氏は、自分の身が自由であることが正当であると信じ、それを勝ち取るべく力を駆使したということなのでしょう。
多くの人は、自らが所属している社会のルールを守り、その社会からはじき出されないように努力しています。
私の知り合いでも、ちょっと社会のルールを破ってしまい、まずは必死に取り繕って、その後にリカバリーに向けて努力を始めていますが、その厳し道をちゃんと歩いていけるのだろうか…、心配しています。あ、脱線した。
ゴーン氏の現在のルールは、自らの快楽原則を追求する、そのための障害は力で排除する、そして皆の同意が得られなくても、同意してくれる人が周りにいて自分を守ってくれれば大丈夫、というものでしょうか。
現実的な視点を
精神分析の理論の中で、快楽原則と対にして考えられるのが現実原則です。
快楽を求めるのは特に変なことではないのですが、 快楽原則が暴走すると、犯罪を犯そうが暴力的な手段を取ろうが、快楽を追求する、ということで社会から排除されてしまいます。
それ故に、快楽を求めるためにも、現実的な様々な問題を解決したり、社会のルールの中でお金を稼いだりしていかないといけない、というのが現実原則のスタンスです。
フロイトも、快楽を追求するばかりであると、結果として、問題が大きくなって快楽から遠ざかるので、現実的に積み上げていきましょう、というスタンスを訴えているのですよね。
ま、妥当なことですよね。
ゴーン氏は、随分と現実原則に従って、バリバリ働いてきて、少し前の地位まで昇りつめたのですよね。そして、登りきったところで、現実原則から離れて快楽原則に身を任せるようになったと。
権力者が、自らの快楽のために人を振りまわるのは、たまりませんね。
過去に、「あの人は人として問題が…」といった言葉をたくさん聞きました。辟易するぐらい聞いたので、私自身は「人として…」という発言を避けているのですが、今のゴーン氏は何のために生きているのか、とても関心を持ちました。
愛する妻と心通う時間を持ちたい、ならわかるけど、妻に証拠隠滅しておいてね、という話をしたいのであれば、単なる保身だからなぁ。きっと、自分の主張する正義を勝ち取る、そういった勝負事が好きなんでしょうね。
金を稼ぐのが正義、会社を大きくするのが正義、いろんな正義がありますからね。正義って言葉も怖いですね…。
社会のルールも、時代によって変わりますし、マスコミの振りかざす正義などには、はやりみたいなものが多いですからね。
ゴーン氏について勝手な想像ばかり、膨らませたままに書いてしまいました。私も、変な正義を振りかざさないようにしないと…。ご容赦ください。
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また、この一月からは、既にお伝えしているように、心理グループも始めます。関心がある方は、是非ご参加ください。わからない方は、お問い合わせください。