子供の頃の体験 安全基地
昨日は、愛着研究の創始者、ボウルビーについて簡単に触れました。
愛着関係が人生にとって大切である、そんな視点の始まりでした。
今日は、愛着を形成する対象のこと、それを安全基地と呼んだ発達心理学者のエインスワースの研究について、少し書いてみます。
赤ちゃんは、周りの人たちに沢山抱かれ、触られていますよね。
そして、多くの場合には母親がその対象になりますが、特定の大人との関係によって安全に守られている感覚を育て、不安な時や困った時にはその安全を提供してくれる大人の元に戻って落ち着こうとするのです。
3歳前のことですから、記憶もほとんど残らないのですが、少しずつ、冒険をして知らない世界を探検し始める、そして戻って一息ついて一安心、そんなことを繰り返して、遠くまで行けるようになるのです。
分離と再会における子供の反応タイプ
エインスワースは、ボウルビーの研究をさらに進め、ストレンジ・シチュエーションの研究を行いました。
簡単に言うと、愛着を形成した人が部屋から出ていって、戻ってきたときに子供がどのような態度を示すか、ということです。
その研究では、子供の反応を4つのタイプに分類されました。簡単に説明していきますね。
- 安定型 愛着を形成した人(以下母親とします)がいなくなると、不安になって泣いたりします。母親が戻ってくると素直に喜び、かけよったりします。
愛着関係が適切に育まれ、信頼が持てているのですね。母親も、子どもの感情や欲求に繊細に応じています。
- 回避型 母親が部屋を出ても後を追ったり、泣いたりしません。
愛着を示さず、母親との関わりもよそよそしいというか、距離を置きがちです。このタイプの子どもの母親も、子どもと距離があることが多いようです。
- 葛藤型 母親からなかなか離れられません。母親が部屋を出ていくと不安がってひどく混乱してしまいます。
再会したときも、すぐに安心できずに混乱が続き、母親に対して怒るなど、不安定な愛着関係を示します。
- 無秩序型 しがみついたり、回避したり、あるいは母親に対して怒りを示して責めるなど、愛着関係に一貫性がないことが特徴です。
児童虐待を受けた子どもなどが、このタイプの愛着関係を示すことがあります。このタイプを示す子どもの母親が、情緒不安定な傾向を示すこともあります。
無秩序型は親子間連鎖、とでもいいましょうか、苦しみの連鎖です。
小さい頃の愛着のスタイルが、そのあとに大きな影響を与えていることがわかりますよね。ただ、一旦形作られたタイプも、取り組みによって変化していくことができます。そうでないと、困りますしね。
タイプがわかるということは、養育スタイルも見直せますし、具体的な解決に向かえるのです。または、大人となって自分との付き合い方を見直すことも出来るのです。
そこからがスタートです。
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