WHOによるゲーム依存(Gaming Disorder)の定義より
WHO(世界保健機構)では、2019年にゲーム依存を依存症という精神疾患として定義づけましたね。
現在のWHOが定義づける 国際疾病分類 はICD-10ですが、その改訂版となる次版のICD-11は、2022年に発効になります。
その中に健康行動に関連する要因として、「ゲーム依存」を新しく定義したのです。
その診断基準を見ると、
- ゲームを制限できない
- ゲームが他の生活上の興味や日常の活動よりも優先されている
- ゲームから離れられないことで負の結果が発生したにもかかわらず、ゲームが継続されたり、その行為は増大していく。
- そして、以上のことにより、ゲームから離れられない行動パターンは、個人、家族、社会、教育、職業、またはその他の重要な領域で問題を引き起こすほど深刻です。
- その行為は12か月以上にわたって続いており、それはオンラインでもオフラインでもありうる。
とされています。
自制心が効かない、ということですよね。
自制心というのは、子供の頃に身に着ける能力なのですが、これは本当に不思議な過程なのです。
依存を促進する環境
ゲームを発売する多くの企業は、営利としてゲームをたくさんしてくれる、そしてそのためにお金を費やしてくれることを求めています。
ゲーム依存症者を増やそうとしているのではありません。
ただ、過去にも話題になりましたが、「ガチャ」とか、複数でチームを組むゲーム内コミュニティがあったり、いろいろなアイテムをコレクションできるようになっていたりと、そのゲームの魅力を高めています。
パチンコなども、その音や光も含めた刺激は、一定の愉悦感に引き込んで現実的な判断を誤りやすくするのでしょう。
それら刺激には、人は反応してしまうのです。「飛んで火にいる夏の虫」という言葉がありますが、その反応の強弱はありますが、完全に反応しなくなる、ということはできないのです。
依存にはまる個人差
どのような依存対象を選ぶかは、縁もありますが、好みもあります。
どういったことだと惹かれるんだよなぁ、という自己理解、そして惹かれるだけではなく、自分の自制心が弱くなる状況への理解などは、大切ですよね。
沢尻エリカの話も、痩せて美しくあり続け、称賛されることに惹かれ、そのための道具として薬物があった、ということもあるかもしれません。
わかりませんよ、これは。
ただ、気が付いたら最初に惹かれたことでははなく、薬物に囚われてしまう、そんな強烈な刺激を薬物はその中に持っているのです。
気合や根性で、何とかなる話ではありません。
人という種族で、自分はどの様な特性を持っているのか、という理解のもとに、はまってしまったときにどのように出ていけるようにするのか、というのが治療になるのです。
他の依存症についても、もう少し共有していきたいと思います。
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