精神疾患

精神疾患を理解する③ 躁うつ病(双極性障害)について理解する

マリーゴールド

双極性Ⅱ型障害 軽度の躁うつ病について

 双極性障害、これは一般的には躁うつ病といった方が分かりやすいでしょうか、これは躁状態とうつ状態を繰り返すⅠ型と、軽躁状態とうつ状態を繰り返すⅡ型があります。

 多くの場合、気分の下がるうつ状態に引き続き、その反動のように気分が著しく上がってしまう躁状態(つまりⅠ型)、そこまでではないけれども気分の上昇が明らかにみられる軽躁状態に入り(Ⅱ型)、気分の波が大きく上がり下がりする病気です。

 Ⅱ型は軽い躁うつ病ということになります。このブログでは、より多く見られる、Ⅱ型について書いていきたいと思います。

 双極II型障害の12ヵ月の有病率は、国際的に0.3%とされています。有病率とは、その時点での病気の人の割合、ということです。

 青年期後期と成人期全般において発病するとされていますが、発症時の平均年齢は20代半ばです。双極Ⅰ型障害より少し遅く、うつ病よりも少し早い年代です。

 多くの場合、抑うつ状態が先行し、このタイミングで医療機関を受診される人もいます。その後、軽躁エピソードが確認されるまでは、双極Ⅱ型障害であることに気付かれないことが多いようです。

 うつ病と診断された成人の約12%が、その後、双極Ⅱ型障害になるとの報告もあります。

双極性Ⅱ型障害の診断基準について :DSM5による

 双極性障害、躁うつ病というのは、抑うつ状態のみならず、躁状態にもなりますので、その診断の過程では「こんな体験はありませんか」というエピソードを確認していくスタイルが取られます。

 DSM-5の診断基準を基本的にはそのままに、ただ一部加筆修正して紹介します。DSM-5とは、アメリカでつくられた精神疾患の分類と診断の手引きなので細かいものですが、【】の中は、簡単にまとめたものですから、一般の皆さんにも分かり易いかと思います。

●軽躁病エピソード

A.【4日以上気分高揚が続き、怒りやすくなることもある】気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。

B.【気分高揚時に、通常とは異なる以下の項目が3つ以上認められる】気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。

①     【私ってすごいという感覚が大きい】自尊心の肥大、または誇大。

②     【睡眠不足も気にならない】睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)。

③     【多弁】普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感。

④     【頭の中が忙しく、ころころ変わる】観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験。

⑤     【注意の持続維持が難しい】注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。

⑥     【これをしなければ、という感覚が強くなる】目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥。

⑦     【後先考えない行動】困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)。

C. 【本来の自分と異なる】エピソード中は、症状のない時のその人固有のものではないような、疑う余地のない機能的変化と関連する。

D. 【人から見ておかしいと思われる】気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E. 【入院するほどではない、つまりⅠ型ほどではない】本エピソード、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない、もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。

F.【ほかの病気、薬物などのせいではない】本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。注:抗うつ治療(例:医薬品、電気けいれん療法)の間に生じた完全な軽躁病エピソードが、それらの治療により生じる生理学的作用を超えて十分な症候群に達して、それが続く場合は、軽躁病エピソードと診断するのがふさわしいとする証拠が存在する。しかしながら、1つまたは2つの症状(特に、抗うつ薬使用後の、易怒性、いらいら、または焦燥)だけでは軽躁病エピソードとするには不十分であり、双極性の素因を示唆するには不十分であるという点に注意を払う必要がある。

※このE.F.の項目の有無は、躁病エピソードとは異なりますね。

● 抑うつエピソード

A. 【2週間以上、①または②のどちらかを含む以下のような症状が続けば抑うつエピソードとなる可能性あり】以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、①抑うつ気分、または②興味または喜びの喪失である。 注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。

 これらエピソードは、うつ病のところで紹介したものと同じです。詳細は省略して、まとめたものだけ列記します。

①【悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分】

②【何事にも興味がわかず、楽しくない】

③【食欲がなくなる】

④【睡眠の不安定】

⑤【落ち着かなかったり、動けなくなる】

⑥【疲れが取れず、気力もわかない】

⑦【自分の存在に意味を感じなくなる】

⑧【考える力がなくなり、物事を決められなくなる】

⑨     【死にたくなり、その考えから離れにくくなる】

B. 【症状により臨床的、社会的に障害を引き起こしている】その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. 【物質の影響、他の医学的疾患によるものでない】そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:診断基準A~Cにより抑うつエピソードが構成される。

喪失についての注項目は、省略します。関心がある人は、うつ病の診断のところを見てください。

 そして、上の二つのエピソードが認められることで、双極Ⅱ型障害となるのですが、その診断基準も蛇足な気もしますが、記載しておきましょう。

●混合エピソード というのもあり、これはそう状態とうつ状態が同時に起こり、混乱が強く表れ不安定になります。

● 双極II型障害

A.少なくとも1つ以上の軽躁病エピソードが、診断基準(「軽躁病エピソード」の項、基準A~F)に該当し、加えて、少なくとも1つ以上の抑うつエピソードが診断基準(「抑うつエピソード」の項、基準A~C)に該当したことがある。

B.過去、躁病エピソードがない。(つまり、双極性Ⅰ型ではない、ということ。)

C.躁病エピソードと抑うつエピソードの発症が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。

D.抑うつの症状、または、抑うつと軽躁を頻繁に交替することで生じる予測不能性が、臨床的に意味がある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

 双極性障害は、シンプルなうつ病とは異なります。実際に、今回のDSM5からは、それまでの気分障害、つまりうつ病の診断枠から別枠に位置付けられました。

 対応も、うつ病とは異なりますので、改めて書きたいと思います。
 どうも、診断を丁寧に書きすぎてDSM5の診断基準をそのまま出していくと、やたらに長くなるので、今後はもう少しまとめて、わかりやすく書いてみたいと思います。

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