精神疾患

採用の苦労 知人との話から 発達障害等を理解する

 最近、とある人の紹介で会った会計士の方と話していて、採用についての苦労話を聞かせて頂いた。

 「いい人だと思って採用したけど、言われたことしかできないんだよね。全く悪意もないのわかるけど、業務に支障が出ないように、その人のことを理解して業務を割り振り、チェック体制を構築して、それでも時々やばいミスが出て大変だった」ということでした。

 その会計士の方は、本当に勉強熱心な方で、発達障害などの特性についてかなりしっかりと勉強され、更には自分のアンガ-マネジメントにも注力されていました。仕方がないということ、それでも向き不向きがあり、そのことを自覚していない人が少ないことなど、嘆きつつも受け入れ、対策をしっかりと立てておられました。

 少し前のニュースで、企業でも発達障害の方を理解する研修を実施しているところは本当に限られていいる、といったようなものを見た。大きな組織であれば、様々な業務がわけられているので、ある程度の人の特性によって配置を配慮することも可能になることもあるでしょう。ただ、小さい事務所や会社であれば、何でもできないと困る、ということもあり難しいですよね。

 一方、大きなところでは一定のフィルターを通り抜けられた人しか採用しない傾向があるから、偏りがあってもある程度の能力も発揮する人が来る、ということもあるでしょうが、中小の場合にはそれまた難しい。

 お話した会計士の方は、自分の職業特性をしっかりと理解しており、知的能力、注意力、想像力など、様々な視点から質問や検査を行い、その後は業務に適した人を採用するように心がけている、ということを述べておられました。問題解決能力の高い視点です。

 多様化が大切にされる昨今、適性ということも大切です。そのために、自分のことを理解することは本当に大切です。ちゃんと作られた心理テストは、クイズではなく本当に自己理解に役立つのです。多くの本当に頭の良い学者さんたちが一生懸命考え、発展してきているものですから。時に、心理テストの結果について、じっくりと話し合うこともあります。そのことから自分が見えてくるのです。自分の特性を無視してよく見せても、後で苦労します。

 事実は、そのままでいいのです。

働く人、働く組織を支援する

精神分析を創始したフロイトをご存知でしょうか。

彼は、人がよくなすべきことは「愛することと働くこと」と述べています。

近年、その働く人への支援は、従業員支援プログラム(EAP:Employee Assistance Program)の広がりもあり、少しずつ手厚い体制が整えられてきています。またその取り組みは、働く職場に対してどのように働きかけるかという形に広がりを見せてもいます。

実際には人と人の関わり合いのことですから、お互いに大切に向き合えるか、ということに尽きるのですが、それを職場で実践することはなかなか簡単ではありません。家族とは違い、適度な対人距離がある社会のほうが争いは少なそうですが、様々な利害も絡み難しくなりますし、人によってその距離感が違います。個人の価値観やそれを形作る土台となった体験を丁寧にたどり、お互いに腹を割って話しあう時間を取りたくても、業績やノルマのために早く動かなければならない、そんな現実にも追われます。

フロイト自身も対人関係に深く悩み、組織を作りながらも弟子に去られたり国を去らなければならなかったりしました。沢山の悩みがどのように乗り越えられてきているのか、積み上げられてきています。玉井心理研究室でも、その長く産業心理と臨床心理に蓄積された知見で、働く人と働く組織を支援します。

働く人、働く組織の支援へのお問い合わせ

コメント

  1. もも より:

    この記事を読んだときから気になっていました。
    私の職場の方もそうかもしれないなって。
    日に日に深刻な感じになってきました。
    私も理解しなければ‥と心がけていますが、
    職場環境がそうもいきません・・
    どーしたらいいのかな‥とぶつぶつ考えてしまいます。

    1. tamablog より:

      多様性を大切に、ダイバーシティだ、なんて言葉をよく耳にするようになりましたが、
      現場レベルで余裕がないと、特に上司に余裕がないと、それぞれに異なった力があり、異なった目標設定をして、
      それぞれに評価をしていって、ということができませんよね。
      少なくとも、自分の中での学びをして、自分のストレスにならないようには出来ますが…。
      組織となると、悩ましいですね…。
      職場で、発達障害の勉強する研修を行う、なんてところも出てきて、私も呼ばれて取り組むこともありますが…。

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