子供たちが受けたミッション
本年もどうぞ、よろしくお願いします。
昨年に引き続き、過去の旅行記です。今回は、突然ですがここで番外編から始まります。
今回の旅では姪っ子二人を連れて行きましたが、二人にとっては初めての海外、積極的に現地の人と交流をしてくるよう、父親からミッションを受けていたらしいのです。
何をするか具体的なことは聞いてなかったのですが、暇を見つけては子供たちみんなで折り紙を折っているなあとは思っていました。
折り鶴のプレゼント
ウィーンに到着した次の日の朝、アパート下のパン屋さんにパンを買いに行ったとき、買い物を終えて店を去ろうとしたときに姪っ子の一人が店員さんに「Present for you」と言って折り鶴を渡しました。
店員さんは、ちょっとびっくりしていましたが、嬉しそうに受け取ってくれました。
その後、動物園のアイス屋のお兄さんや、スーパーのレジのおばさん、通りすがりの小さな子供、レストランのウェイトレス、バス停で一緒に並んでいたお姉さん…と、チャンスがあるたびに「Present for you」と言って折り鶴と、折り鶴の由来を英語で説明したメモ書きを渡していました。
日本の折り鶴は外国人にとっては珍しくて美しく、どのような仕組みで作られているかよく分からず、受け取った方は意外なほどに喜んでくれました。
喜んでくれない人も…
ただ一度だけ、微妙な反応をした方がいました。
前回の、ザンクト・ヴォルフガンクに向かうフェリー乗り場にいた家族連れに渡したときのことです。
ご夫婦と、10代前半くらいの女の子二人の家族に近づき、いつものように折り鶴を渡そうとしたら、女の子二人からは「要らない」と断られてしまいました。
お母さんは受け取ってくれましたが、やおらお財布を取り出し、1ユーロ渡してくれたのです。
なんとなく1ユーロコインを受け取ってしまったものの、子供たちは複雑な表情になってテンションが下がってしまいました。
オーストリアはチップの文化があり、レストランでもカフェでもタクシーでも、10パーセントくらいのチップを渡すのが慣習となっています。
その一家は、気軽なお礼のつもりで1ユーロをくれたのでしょう。
でも、チップというものに慣れてない子供たちは、お金を受け取ったことに少し罪悪感のようなものを感じてしまったのでしょうか。
その前に二人の女の子が、折り鶴の受け取りを断っていたこともあってか、そのお母さんからお金を受け取ってはいけない気がしてしまったようです。
ここはお金はお返しした方が子供たちもすっきりするのかな、と思い、丁重に「子供たちはお金が欲しかったわけではなく、ただ日本のものをプレゼントしたかっただけなんです」といって、1ユーロコインはお返ししました。
そのお母さんも笑って、「素敵なものをいただいたお礼をしたかったのよ。
とっても上手ね」と言いながら、お金も受け取ってくれました。
子供たちもすっきりして、また元気になりました。
あの折り鶴は今・・・
この旅行から2年以上経ち、ふと「あの折り鶴たちはどうなっているだろう」と思うことがあります。
もしかしたら、受け取ってくれた方が働くパン屋さんやスーパーの隅に飾られているかもしれません。
「外国の人との交流をしてきなさい」とのミッションを受けて、一生懸命考えた子供なりの交流。
言葉の通じない人に渡すのは勇気が要る行動だったと思いますが、今回の旅に面白みを与えてくれました。
日本の子供からのささやかなプレゼントを、大切にしてくれている人がいるといいな、と思っています。
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また、この一月からは、既にお伝えしているように、心理グループも始めます。関心がある方は、是非ご参加ください。わからない方は、お問い合わせください。