人の頭の中をアニメで見せる見事さ
2015年ですから、少し前の映画になりますが、ディズニーの「インサイドヘッド」見られたでしょうか。
この映画が上映された当時、私はしばしば精神科クリニックで行っているグループで、この映画に言及し、患者さんたちと話し合いました。
私としては、頭の中ではなく、心の中という場面設定にも言及して欲しかったのですが、しっかりと人の心の機能などについても描かれていて、自分の感情を理解する、感情や心の動きとはどのようなものか、感情の役割など、人についての一般的な理解を得るための教材としても、本当に役に立つものでした。
感情の登場と成長に伴う変化
映画の中では、「喜び(ヨロコビ)」「悲しみ(カナシミ)」「怒り(イカリ)」「嫌悪(ムカムカ)」「恐れ(ビビリ)」という5つの感情が擬人化され、頭の中でそれぞれの役割を果たしています。
当初は、「喜び」がリーダーシップを発揮し、「悲しみ」はあまり存在感がなく、表に出ることはまるで悪い事であるかのように描かれていました。
主人公の女の子が様々なことを体験していき、成長していくにつれて、喜びといったポジティブに感じるものはよいもの、悲しみといったネガティブに感じるものは悪いもの、という子供っぽい白黒思考から離れていき、マーブルにまじりあった複雑な感情を保持し、混じり合うことでより豊かに深みのある感情を感じられていけるようになる、そんな姿も見ることができます。
ユーモアの大切さ
私が大切に思うことの一つに、ユーモアがあります。
夏目漱石は、『草枕』の冒頭で、「智に働けば角が立つ。 情に棹させば流される。意地を 通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」と書いています。
確かに、理屈を通せば感情はとがりますし、気持ちのままに動いてしまうと後で後悔するようなことになることも多いですし、思い込みも含めて「こうあるべき」ということにとらわれればつらいですよね。
そんな時、ちょっとしたユーモアが助けになるのかと思います。そしてやはり、この「インサイドヘッド」でも、ユーモラスな登場人物が現れます。
気持ちを大切に、温かく、楽しく感情たちとも付き合えればよいですよね。ホームページでも、過去のブログでも、少し真面目にそんな感情についても書いています。是非、そちらもご覧ください。