怒りを感じることを避ける人の中に、一定の割合で「怒りを感じたときに、自分がどうなってしまうのか分からないから」と訴える人たちがいます。
怒りを感じたときに、「誰かに何か過剰に攻撃してしまうのではないか」「怒りを表現する練習なんてしたことがないからわからない」ので、怒りを感じることを怖れてしまうのです。
子供の頃から、「嫌なことがあったんだから、怒るのも当然だよね。」と怒りを感じることを受け止めてもらえ、怒りのエネルギーを出すことを許されたのであれば、その人は怒りを怖れずに過ごしているのではないかと思います。
怒りを表現する時に、必ずしも激しい衝動的な爆発を伴う必要はないのです。ここで、簡単な練習方法を書いてみましょう。
安全で、協力してくれる人に自分の前に立ってもらい、自分は足をしっかりと地に付けて立ち、お腹の丹田(おへその下の辺り)に利き手の反対側の手を当てて体の中を感じます。しばらくゆっくり呼吸をしてもよいでしょう。そして利き手を前に出し、相手と手を合わせ、手だけで押しながら押している感覚を感じる。そんなちょっとしたワークです。
そんなワークの中で、人は様々なことを感じます。自分の中の力に気付いて驚く人もいれば、遠慮して押せない自分を知る人もいます。それでも、繰り返しそのような練習を積み重ねることで、怒りは怖いものではなく、適切に感じて自分のことを適切に守れているそんな感覚を持てるようになるのです。
目指すところは、怒りを感じても自分がその感情に圧倒されずにちゃんと怒りを感じられること、そして時に適切にその怒りを表現できるようになることです。