「恥」という感情、素直に「恥ずかしいな」と感じられるでしょうか。
人の発達成長を丁寧に振り返っていくとき、「恥」という感情がとても大切な役割を果たしていることを理解しました。「恥」という感情は、人が成長し始める初期、3才にもなる前の時代に獲得する感情とも言われます。
それは、自分の限界を知る、ということと繋がっています。
人は、赤ちゃんの頃、世界は自分のためにある、と思えるとよいのです。お腹が減って泣いたら満たされる、オムツがぬれて気持ち悪くなったら気持ちよくしてくれる、そんな心地良い世界なのです。
ただ、自分でハイハイして、つかまり立ちして、自分で行動範囲を広げていくと、どんなことをしても良いわけではないことを学ばなければなりません。危険なもので遊んでいたら取り上げられてしまったり、怖いことも体験してしまいます。つまり、それまでのように世界は自分のためにあるのではなく、この世界では我慢をしないといけないし、思い通りにならないことがある、ということを学ぶのです。
これが、自分ができないことを受け入れる、つまり「恥」の感情なのです。
この「恥」の感情があってもいいや、つまりできないことがあっても当然だし、残念だけどそんなもんだと感じられない場合、しばしば「恥」=自己否定 になってしまうのです。
オリンピックの選手になることを目指してきたならともかく、そうでない多くの人にとっては、オリンピック選手にならないことを「そんなもんだ」と受け止めていられると思います。嫌いな食べ物があっても「まぁいいや」と思えると思います。
恥ずかしいけど大丈夫、そのように、安全に恥ずかしさを感じてみたいですね。