心理雑感

ユング自伝2

ユング

 カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)はスイスの精神科医です。精神分析という世界の心理療法へのきっかけを大きく進めたフロイトと共に,心の深い世界を理解し,心の病とは何かを探り,回復にエネルギーを注いだ人です。

 日本では,深層心理学者としても知られ,人の心の支援のために,世界中の歴史,文化などを広く学び,個人の心が表現することが,多くの人に共通で表現されていることを明らかにしようとして,無意識の更に深いところ,集合的無意識を想定しました。

 人が人として,生まれながらに持つもの,ということを明らかにしようとした,ということでもあります。

 東洋の思想にも関心を強く持ち,自分の心の内から出てくるものを絵にしたところ,曼荼羅(マンダラ)となっていたということも有名です。

 ユングは,夢やイメージの研究者でもありました。
 そして私も必要があって,ユングの勉強はしていましたが,哲学の先生から進められ,ユング自伝を読んでいました。

晩年の思想

 ユング自伝2にある「晩年の思想」を読んでいると,私の中ではまるでかつて『チベットの生と死の書』(ソギャル・リンポチェ著)と重なってきます。
 チベット…の本は,昔ある人に進められて読み,私の座右の書となっているものです。

 心の深くをひたすら見つめ,そこから湧き上がるものを辿って自分の心の変化を進めようとする姿勢,それは宗教的な取り組みでもあるようです。
 ドイツの哲学者であるフッサールの本を読んでいても,そのような印象を持ちます。
 ヨーロッパの思想家たちは,思想を追求することそのものが自分の生き方であった人も多かったようで,その姿勢は修行者のようにも思います。

 その過程は,決して楽ではなく苦しみも沢山ありそうですが,喜びも沢山ありそうです。
 不思議なことではありませんか。

 苦しみの中を一生懸命歩いているなかで,人間という生命を一歩先に進める,という取り組みでもあるかのような。

 すっごく簡単に言うと,「本当に心の奥深く内から響き合ったものを信じ進みなさい」ということを言っているのですが,それはとても大変な取り組みです。

 心はしばしば表面的な様々な思考や感情,衝動に覆われています。
 何が大切か,ということすらすぐに見失います。

 それでも,丁寧にそのような取り組みを意識することで,一日一日を豊かに過ごすことができるようになっていくのでしょう。

 

 心理療法は,修養ではありませんが,そのような側面もあるとは言えるでしょうね。
 苦しみから自由になるための具体的な方法,そして技術を駆使して,それを自分のものとして豊かな人生に繋げる,そんな取り組みに繋げていきたいですね。

ご成婚

 今日は,大きな結婚がありました。
 結婚は,心の対話を深く始める一つのきっかけになります。
 ご夫婦で,よい対話を重ねていかれるとよいですね。
 そして,そのような対話を重ねる人が増えることが,世界を変えていくのだと思います。

 玉井心理研究室では、心理療法・心理カウンセリングの提供をしています。また、個人のみならず、組織や会社団体などにおける心理支援も行っております。
 現在は、Zoomやスカイプ、電話による相談も強化しております。