認知行動療法

納得のいく考えを探す 認知行動療法

考え方のクセ 自動思考

 今回は,認知行動療法について少し書いてみましょう。
 認知行動療法では,物事の捉え方,ついやってしまう行動,対人関係のパターンなどについて,今までとは異なった選択肢を持てるようにしていきます。

 皆さんにとって,頭に浮かびがちなフレーズはあるでしょうか。
 ふと,「私って…だよなぁ」「人は…だしね」「社会は結局…なんだよね」といつもの慣れ親しんだ考えが頭の中に浮かんできている…そんなようなものです。
 これを,認知行動療法では自動思考と呼んでいます。
 自動思考とは,自動的に浮かんできてしまうものだから,ということでそのように呼ぶのですが,その思考はあっていようが間違っていようが,私たちの状態に影響してしまいます。

 「私ってバカだ」という考えが心の中に浮かんでいるとき,それは憂うつで重たい気持ちになることでしょう。
 実際に,それが事実かどうかではなく,人の頭の中には様々な場面で慣れ親しんだ考えが浮かんできがちなのです。
 それ故に,私は「考え方のクセ」と呼びます。
 例えば,人から褒められたときでさえ,「きっと私がダメだからわざわざほめてくれたのかな…」などと素直に喜べずに,ダメ癖が出てしまう人もいます。

 ある場面で,別に何かを考えたわけでもなく,浮かんでいる“思考”がはっきりしていなくても,急にズーンと気持ちが重くなってしまうことがあります。
 このクセのようになっている思考,最初は捕まえるのに練習がいるのです。

 私たちは,自分の自動思考を捕まえて,それを検討する,といった作業を日常生活で習慣にしてはいませんから,ふと頭の中に浮かんできた思考をそのままに信じてしまっています。

 最近,私の周りで「マンガでやさしくわかる認知行動療法」(玉井仁著)を読んで面白い,と言ってくれる人が多くて,一緒に話し合っているのですが,この本の主人公の夏野梨香さんもまさにそのような考え方のクセに囚われていることが多い人です。 
 上司から「がっかりさせないでよ」なんて言われた時に,「私は嫌われているんだ」」と思ってしまうのです。
 「やってしまったなぁ」ではなくて,「私は嫌われる(ような存在なんだ)」というのは,少し飛躍していますよね。

正しい考え はない

 自分の考えを見つけられるようになった後に,その考えを客観的に観察して,その中にある「クセ」を見つけて観察する。そして,そのクセを客観的にみられるようになってきたときに,そのクセに代わる別の捉え方を探していくのです。
 正しい考えがあるのではありません。

 例えば,先ほどの梨香さんの場合には「嫌われている」でしたから,「好かれている」とシンプルに反対から見た捉え方が腑に落ちるのであれば,それを採用するのはよいことでしょう。
 一方,「好かれている」という捉え方が腑に落ちておらず,納得がいかない場合には,別のものを探していくのです。

 ポイントは,自分を説得するような捉え方ではなく,納得できそうな捉え方を探すことです!!

 「そのように捉えられるのであれば,最初っからカウンセリングなんか来ないで済むんだよ」という人も少なくないでしょう。その通りです。
 しばしばそのような時に,「そのような捉え方~」が正しい捉え方で,一方自分の捉え方は間違っている,という落とし穴に落ちてしまっています。

 この考えが正しい!というような考え方には注意ですね。
 正しい/間違っている,という考え自体が白黒思考なのです。
 正しい面もあれば,間違っている面もある。こんな捉え方もあれば,別の捉え方もある。

 広く,かつ柔軟にいろんな考えを探して試してみたいですね。
 思考をつかむ練習,クセを見つけるステップ,そして異なった捉え方をみつけ,それを自分になじませていく,そんな取り組みを丁寧に進めていくのです。

 この認知行動療法は,もともとはうつ病の方に対するアプローチとして,投薬治療と同等の効果があることが確認されてきていましたが,不安障害,パニック障害,PTSDなど広くその効果が確認されてきています。
 お悩みの方は,ヒント探しのつもりでも,気軽に専門家の門を叩いてもらえるとよいと思います。

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