心理雑感

『春秋山伏記』山本周五郎を読んで 

山本周五郎

 私は、本はかなり乱読するほうですが、歴史小説も好きな一分野です。
 池波正太郎などは好きですが、山本周五郎の透明な人の機微を感じさせる文章は、しばしば感銘を受けます。

 少し前になりますが、『春秋山伏記』という山本周五郎の作品を図書館で借りて読んでいました。内容はそれなりに面白かったのですが、興味深い一説がありました。

 既に、本が手元にないのでうろ覚えなので、引用は正確ではないのですが…。
 すみません…。

母親と子供のつながり

 本の中で、子供が山の民に連れていかれてしまう、というくだりがあります。半狂乱になった母親は、あちらこちらを探し回ります。村人も、皆協力して探してくれます。

 母親がある場所に探しに出た時、「ここにはいない、においがない」というのです。
 本全体も面白くさらっと読めたのですが、何よりもこの一文に驚き、印象が強く残りました。お祭りの日、沢山の人がいる中で、子供のにおいがわかるのか、子供がここに来たかどうかがにおいでわかるのか、実際にはにおいというよりも、感じているのでしょう。

 この文章に出会って、山本周五郎のすごさ、この母子のつながりを言葉として表現できる、そのような温かさ、まるで本を読みながら母親との繋がりを思い出すかのような感覚に読者を導いているのだな、と強く感じ、これはファンが離れないよなぁ、と思った次第です。

 山本周五郎の郷里山形県荘内地方に伝わる習俗を小説化したものだそうなので、そのような側面が強く出たのかなぁ、などと想像をたくましくしました。

春マタギ

 その前後で、葉治英哉の『春マタギ』という本を手に取っていたのです。
 マタギの民の在り方、気持ちの動かし方の傾向などが丁寧に書かれていて、興味深くはあったのですが、読み始めて最後まで読むか迷っていたのですが、『春秋山伏記』の後にもう一度手に取ると、山の民は、マタギだったんだろうかなぁ、などと考えつつ、さらっと読めてしまいました。

 今日は、読後のコメントでした。

 

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