産業心理

産業領域での心理支援活動の概略

 産業領域において、心理援助のニーズは拡大しています。初回である今回は、その概略を紹介し、少しずつ書き進めていきたいと思います。

 労働者の休職者におけるメンタルへルス不調者の割合は一割を超えています。労働者の25%程度の人はメンタルへルス不調の体験があるという報告もあります。業務の質と量、人間関係は大きな要素となります。

 近年は、ハラスメントの問題も耳にすることが増えましたし、それ以上に離職予防、採用の問題も人事担当者を悩ませます。人事担当者やメンタルへルス推進担当者への支援も必要となります。

 労働安全衛生法の改正によりストレスチェックが法律で義務付けられ、メンタルヘルスへの理解の拡大が図られました。現状の感触は、現実の企業・団体の意識は本当に少しずつ広がってきているかな、というところです。

 様々なメンタルへルスの研修も行われています。全労働者を対象にするセルフケア研修やハラスメント研修、管理監督者を対象にするラインケア研修、個別の価値観や体験を振り返るワークショップ型の研修、組織管理や分析などの研修なども、本当に様々あります。

 人がいる限り、そこには支援の手が届けられることが求められます。その現場にいる人たちの中で、相互支援が進むのが理想でしょうが、それが難しいことがあります。人の相性もあるでしょう。理想を体現することは難しいものです。ただ、それは他人ごとではないのです。

働く人、働く組織を支援する

精神分析を創始したフロイトをご存知でしょうか。

彼は、人がよくなすべきことは「愛することと働くこと」と述べています。

近年、その働く人への支援は、従業員支援プログラム(EAP:Employee Assistance Program)の広がりもあり、少しずつ手厚い体制が整えられてきています。またその取り組みは、働く職場に対してどのように働きかけるかという形に広がりを見せてもいます。

実際には人と人の関わり合いのことですから、お互いに大切に向き合えるか、ということに尽きるのですが、それを職場で実践することはなかなか簡単ではありません。家族とは違い、適度な対人距離がある社会のほうが争いは少なそうですが、様々な利害も絡み難しくなりますし、人によってその距離感が違います。個人の価値観やそれを形作る土台となった体験を丁寧にたどり、お互いに腹を割って話しあう時間を取りたくても、業績やノルマのために早く動かなければならない、そんな現実にも追われます。

フロイト自身も対人関係に深く悩み、組織を作りながらも弟子に去られたり国を去らなければならなかったりしました。沢山の悩みがどのように乗り越えられてきているのか、積み上げられてきています。玉井心理研究室でも、その長く産業心理と臨床心理に蓄積された知見で、働く人と働く組織を支援します。

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